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単独インタビュー第1弾「カクテルデザイナー鈴木隆行さんを迎えて」前編

31 7月 2009 2,949 views No Comment

パークホテル東京にて 2009年7月某日 時刻 夕暮れ時」 

 

  

 こちらパークホテル東京のメインバー「バーハイソサエティー」は日本で唯一、スコッチモルトウイスキーソサエティ(ソサエティ)との提携Barでございます。

 

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私もメンバーの1人ですが、ソサエティとは、モルトウイスキーの愛好家の組織となっており、現在は、日本、アメリカ、スイス、オランダ、イタリア等世界14ヵ国に支部がございます。

 

 

本日はこちらのBarと姉妹ホテル・芝パークホテルメインバー バーフィフティーンを統括している、カクテルデザイナーの鈴木隆行さんに色々お伺いしたいと思い、こちらパークホテル東京にございますメインバー「バーハイソサエティ」にお邪魔しております。

 

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Kaori:本日を楽しみにしておりました、どうぞ宜しくお願い致します。(以下KaoriはK)

鈴木さん: 宜しくお願いします。

 

K:Q1 まず始めに、鈴木さんもソサエティのメンバーとの事ですが、入会のきっかけをお聞かせ頂けますか?

 

鈴木さん:はい、10数年前カクテルの勉強の為、ニューヨークに住んでいる時に今と同じだったか覚えておりませんが、ウイスキーマガジンを知ってそのまま入会をし、そうこうする内に帰国する事となりました。

 

K:そちらからどの様なきっかけで、ソサエティと提携される事になったのですか?

 

鈴木さん:暫くしてからこちらのメインバーを統括するにあたり、国際的なホテルという事もあり、数年前にメンバーになっていたソサエティを思い出し、提携をお願い致しました。

 

K:その様な流れでいらっしゃったのですね。ところでニューヨークへいらっしゃったとの事ですが、何を思われいらっしゃったのですか?

 

鈴木さん:世界最古のバーテンダースクールに入会する為でした。それに加え、今までの自分のキャリアを「ニューヨーク」という場所で腕を試したかったという事もあります。

 

K:Q2 お話は変わりますが今年の2月、東京ビックサイトでの「ウイスキーマガジン・ライヴ」では、様々な種類のウイスキー・カクテルに挑戦されていましたが、どの様な発想でレシピをお考えになるのですか?

 

鈴木さん:私自身モルトは大好きなので、安易に混ぜるのには、かなりの抵抗がありました。私のカクテルコンセプトとして、そのウイスキーの持つ個性や特徴を引き出し、カクテルにする意味を探求していく事を心掛けております。

皆様に評価して頂き、今年度の夏号よりウイスキーマガジンでウイスキー・カクテルを連載しております。

 

宜しければ、その時のカクテルを召し上がってみますか?

 

K:え?宜しいのですか?図々しいですが、お願い致します。又、特徴等ご一緒に教えて頂けたら嬉しいのですが。

 

鈴木さん:こちらのカクテルのウイスキーは「山崎12年」を使っております。まずストレートで香りを確かめて、基本的にウイスキーの特徴を活かすようなカクテルにしてあげたいなと思っております。その中で、私自身3つのパートを感じました。1つ目は、杏子や果物系、2つ目に若干感じるのは、樽の影響かもしれませんが、トロピカル、そして3つ目は、時間が経ってくるとカカオやバニラの様なチョコレートの様な甘い香り。この様な3つの香りを感じ、1番最後の感じたのはやはりスコットランドのウイスキーと確実に違うなと感じ、それは何だろうと考え最終的に辿り着いたのは「畳の香り」なのですよね。

それを別々の工程で味を重ねる様に、カクテルを作っていこうと思いました。

 

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杏子やアプリコットやそういったシトラスの香りのトロピカル香をシェイカーの中に1度まとめ、そしてパイナップルジュース、アプリコットブランデー、そして柑橘の香りを感じたので、レモンを絞ります。そして1つ目と2つ目で感じた香りをここで表現して、今度は甘い香りという事で山崎12年とダークカカオを入れたものを。そしてレモングラスを少し山崎12年に浸して、香りを出す為に炙ります。そしてこちらをカクテルにします。

わりと泡立つので、茶漉しでこします。上に山崎と甘い香りを味を重ねる様に浮かせます。

そして山崎12年に浸したレモングラスを飾って、最後にレモンを絞って出来上がりです。

 

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K:とても綺麗なカクテルですね。色のバランスも何だかワクワク致します。

 

鈴木さん:是非山崎12年とカクテルを飲み比べて下さい。

K:山崎12年はとてもアロマの存在感がありますね。濃厚な甘さ、とにかく濃厚ですね。鈴木さんが仰る様に杏子の様な果物のアロマそしてバニラの様な甘さがありますね。じっくり頂くと鈴木さんが表現された様に畳を感じます。そして私が感じるのは綿菓子も感じます。又オリエンタルなイメージも...記憶の1部に残りそうですね。

 

今年のマガジン・ライヴに参加して、鈴木さんのステージを拝見している際に「美味しそう」と思っていましたので、光栄です。

それではカクテルを頂きたいと思います。

 

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とても美味しいです!最初の感想を申し上げると、ヨーグルトの様な爽やかな酸味と甘さを感じますね。後は何でしょう?

 

鈴木さん:何層にもなっているので、色々な味を愉しめますよ。

 

K:最初に甘い香りを感じますね、山崎12年のアロマでしょうか。更にレモングラスのアロマでしょうか...心地良いアロマですね。

 

鈴木さん:おそらく最後に絞ったレモンではないでしょうか。基本的にウイスキーにはレモンを合わせないのですが、山崎12年だから許されるのかなと思いました。

 

K:仰る様に色々な味を感じますね。

 

鈴木さん:比重の関係で常に山崎を1番上に浮いているのです。ですから一口毎に山崎を口にしている事になるわけです。山崎にカカオの香り、山崎にトロピカルの香り等そういう構造になっているので、一口事に違うのです。ウイスキーは余韻が長いですよね、カクテルはどちらかというとスッという感じなので、だからそういうカクテルグラスでも色々な味を探求出来る様な味にしてあるのです。

 

K:普段から私はカクテルが好きでお願いするのですが「美味しい」という感想はあっても、こちらの様に色々考えながら楽しめるカクテルは中々ないですよね、楽しいです。

実際にこちらのカクテルを知らずに注文したら、ウイスキーが入っているとは気付かないかもしれないですね。ですが、きちんと向き合うと、この甘さはどちらから来ているのかしら、という疑問から、カクテルと対話出来る気が致します。

 

あと1つ、鈴木さんはカクテルを作られている時に何を考えていらっしゃるのですか?

 

鈴木さん:普段からテイスティングコメント等は見ないのです。これは「シングルモルトだから」や「カスクだから」や「何年物だから」等の前情報を抜きにして、「優しく対話」をする事にしています。パートナーを探す、の様に。

 

K:何だか人とのお付き合いに似ていますね。

 

鈴木さん:そうですね。1番したくない事が、ウイスキーを台無しにする事ですね。もしかしたら混ぜない方が良いと考える方もいらっしゃるかもしれませんけれど...。

 

K:ですがそうすると、水割りもソーダ割りも駄目、ストレートのみの愉しみ方になってしまいますよね。勿論個人的にもストレートで頂く方が多いですし美味しいと思いますが、それぞれがそれぞれの愉しみ方があっても私は宜しいと思います。 (後編へ続く

 

 

 

                                    

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