単独インタビュー第6弾 ロングインタビュー 「ウィスク・イー ソサエティ・スペシャリスト兼アドバイザー 元木 陽一さんを迎えて(3)」
K:有難うございます。お話を戻しまして、そこから考えられて、今の銀座はどうでしょうか?
元木さん:静かですよね。凄く静かですよね。タクシーが普通に捕まりますからね。
K:そうですね。
元木さん:客待ちのタクシーで渋滞しちゃってますからね。
K:はい。
元木さん:昔はお客様の為にタクシーを止めたら、すぐチップをくれましたからね。大体いつも1万円。バブルの時はチップが凄かったですね。閉店後にポケットからクチャクチャの1万円札がたくさん出て来ましたからね。
K:凄いですね。
元木さん:毎晩飲みに行ってました。
K:それはBarのお仕事が終えられてから、朝まで飲みに行かれて、それからまたお昼過ぎに出勤されてですよね?後は変わった所等ありますか?
元木さん:最近はモルトBarが増えましたね。
K:モルトBarが増えましたか?
元木さん:何処のエリアもだと思うんですけれど、凄い勢いでモルトBarは増えました。
K:以前の銀座にはどういうBarが多かったのですか?
元木さん:銀座はだんぜんカクテルBarが多かったですね。
K:モルトのBarが増えた...。
元木さん:モルトのBarは増えましたね。今迄バーテンダーをやった事がない方が出店される場合も少なくないですね。モルトオンリーのお店も多いと思います。カクテルを出さないお店ですね。
K:私の勝手なイメージの銀座は老舗のBarがあって、長くされて、今は変わっているのでしょうか?
元木さん:新しいお店も勿論増えていますよ。大きいBar店舗は少ないですけれど。
K:以前スミノフさんへ行った事があります。あちらは老舗ですよね?
元木さん:勿論、老舗ですね。
K:その後立ち退きをしなくてはいけないというお話を2年ほど前に伺って。
元木さん:老舗の閉店が多くなりました。
K:そういうBarが立ち退くなんて、今スミノフさんは違うビルに移っていらっしゃいますけれど。そういう老舗のBarでも立ち退かなくてはいけない状態で、その後どうしようと考えなくてはいけない状況だと改めてその時に思いましたね。
元木さん:残念ながら老舗Barが閉店される事が、近年多かったですね。コリドー街のクールや、交詢社ビルにあったサン・スーシー。凄く有名な老舗Barでしたがなくなってしまいましたね。寂しい限りです。
K:それは元木さんが働いていらっしゃった頃ですか?それとも最近ですか?
元木さん:交詢社ビルの建て替えがあったときにサン・スーシーが閉店しました。数年前ですね。クールも数年前です。クールは銀座でも3番目ぐらいに古いんじゃないかな。
K:そうなのですか。
元木さん:ボルドーがあって、ルパン、サン・スーシがあって...ボルドーが1番古いですね。
K:伺ってみたいですね。
元木さん:ボルドーはBarというよりサロンのような感じです。
K:何丁目ですか?
元木さん:8丁目ですね。
K:経験として伺ってみたいですね。老舗のBarでもお客様が減少しているのでしょうか?
元木さん:静かですけれど、お客様をきちんと持っているお店、しっかりしたバーテンダーがいる所は入っていますよ。減少していく中でも。
K:はい。そうですね。先週、毛利さんの所へ伺った時でも、金曜日だから混雑していると思い、お電話してから伺いました。幸運なことにスムーズに入れました。8名程の団体様が入っていて、女性1人の方もお隣に座っていらっしゃいましたし、カップルの方もいらっしゃいましたし、伺った時は満席でしたね。騒ぎ過ぎず、静か過ぎずでした。外は静かでしたけれど、中はきちんと入っていらっしゃいました。バーテンダーの方に伺ったら丁度毛利さんは、海外出張中でいらっしゃいませんでした。
元木さん:そう。私は開店初日の最初のお客さんなんですよ。
K:え、そうなのですか?
元木さん:南青山のBarから銀座に久し振りに戻って来て、オリオンズの前なんですけれど、そこのバーのデザイナーが毛利バーをデザインした方で、私が南青山のお店で勤務していた時にスカウトされました。そろそろ銀座に戻りたいなと思っていた時期でした。そこで毛利バーへ行くか、その新しく出来るBarへ行くかどちらがいい?と聞かれて私は毛利さんの所ではない方のBarに決めました。その理由は「毛利さんの所へ行ったら、カクテルを作らせてもらえないのでは?」と思って。
K:確かにそうですね。
元木さん:デザイナーの方が「そうだよね。元木君は作りたいんだよね。」と言われて、毛利バーを蹴ってそちらに(笑)失礼でした。
K:(笑)。
元木さん:ただそのお店が毛利バーより閉店時間が早かったので、毎日の様に毛利バーへ行ってカクテルを飲んで勉強させて頂きました。
K:最初、私は毛利バーへ伺う前は、緊張するBarなのかと思っていましたが。
元木さん:もう本当に居心地が良いですよ。
K:そうでしたね。
元木さん:普通に家にいる様に居心地が良いですよ。
K:色々な物が置かれていて、寛げてしまう雰囲気ですよね。
元木さん:同業者だから、端っこの方で飲ませてもらっていて、忙しくなると「中入って氷割ってくれ」と言われてカウンターに立ったこともありました。その内「ジントニック入りました」と簡単なオーダーを作らされたり。
K:お作りになっていたのですか?
元木さん:忙しい時は、他店舗のバーテンダーが助っ人で何人も入った時もありました。
K:確かにね、お作りになれますものね。でも常連の方から見たら、知らない方がいる、又はあそこのお店のバーテンダーの方がいると思われますよね(笑)。
元木さん:修業みたいな形で研修に来ているバーテンダーも多いですから珍しくはないですよ。
K:そうですか。
元木さん:昔から何人もの研修生が巣立っていきました。
K:私も毛利さんの所で働いていらっしゃって、お店を出していらっしゃる方を知っています。
元木さん:最近はほとんど決まったBarへしか飲みには行きません。それほど新しいBarを開拓していないです。
K:開拓されるお気持ちは少しはあおりなのですか?
元木さん:あまりないですね。新しく出来て紹介されたら「行ってみようか」という風になりますけれど、あまり増やし過ぎない方が体には優しいですよね。
K:プライベートで飲むのとお仕事で飲むのでは、両方共考え方は一緒ですか?
元木さん:プライベートの時は、好きなものを飲みますけれどね。仕事で伺うときは自分のところの商品を飲もうと思います。
K:そうですよね。
元木さん:新しく行くお店は、知っているお店で修業されていた方が独立し開店したから行ってみようかというのはありますが、いきなり飛び込みでというのはないですね。
K:そうですね。
元木さん:Barはなるべく紹介されてから行った方が、安心ですよね。お店の方も紹介されてからいらっしゃった方が素性が分かるので、どのような対応をすれば良いのか分かりますし。
K:私もそうですね。基本的にいきなり入るBarはないですね。ほとんど紹介ですね。Barの時間を本当に無駄にしたくないのですよ。
元木さん:そうですね。Barで過ごす時間は大事じゃないですか。
K:はい。
元木さん:紹介もなく飛び込みで入ったお店というのは、そのお店の方針やしきたりも分からないし、技量も分からないから、ある意味お試しですよね。
K:そうですよね。
元木さん:お試しでも安くなかったりします。
K:はい。そうなのです、そこにね。
元木さん:出張へ行った時、ふらっと入ってみようかなと思う時もありますけれどね。でも出張へ行ったら行ったで、訪問しなければならない店もあるわけですよ。
K:そうですよね。
元木さん: 例えば泊まりで大阪へ行った際には、お客様のBarへ訪問しなければなりません。でも1軒じゃないですから。行くときは5軒ぐらい一気にはしごします。だって「元木君来てたよ」「え、うち来ていないよ」となったら、あまりいい気分じゃないでしょうしね。
K:そうですよね。大変な事になってしまいますよね。
元木さん:だったら行かないなら、行かない。
K:先程マンハッタンのお話が出て来たので、元木さんがこちらのバーカウンターに入られて作られるのは難しいと思いますので、後でバーテンダーの方に作って頂こうと思っております。
元木さん:本当にマンハッタンは好きですね。
K:そうですか。お作りになる方によって、やはり違いますよね。
元木さん:違いますね。でも本当に良く言われます、「本当にマンハッタン好きだよね」と。
K:何処にいらっしゃっても、まずはマンハッタンですか?
元木さん:カクテルバーなら何処に行っても先ずはマンハッタンを注文します。カクテルを飲む時は、風味や調合、また技術が安定している所ではないと次には注文しません。初めて伺う場合は注文してみますが、好みでないと思ったら、後はウイスキーを注文します。ウイスキーは大きな間違いがないですから安心です。
K:確かにそうですね。有り難うございます。 (4へ続く) (2へ戻る)
※次回掲載予定 8/6(金)
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