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単独インタビュー第8弾 2011年 年明けインタビュー企画「Bar DOVECOT バーテンダー渡邊 真弓さんを迎えて(1)」

14 1月 2011 5,658 views No Comment

「 Bar DOVECOTにて 2010年12月某日 時刻 まだ暖かい空気に包まれていた頃」 

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渡邊さんからのお紅茶を頂き、緊張感を和らげながら談笑。いつもとは逆の立場ではあるものの、女性同士の会話がいつまで続くのか、いつインタビューが始まるのか...。

 

Kaori(以下K):2011年の年明けインタビュー掲載は、やはり女性が良いと思っておりました。今回は、失礼ながら波長が合うと申し上げて宜しいのか、心地良い空間を生み出されておられますBar DOVECOTのバーテンダー渡邊 真弓さんにお願いをし、快く承諾して頂きました。それでは始めさせて頂きたいと思います。宜しくお願い致します。

 渡邊さん:宜しくお願い致します。

KQ1:バーテンダーになったきっかけを教えて頂いても宜しいでしょうか? 

渡邊さん:はい。きっかけですね...。一言で言うと「何となく」なのですね。ご期待に添えない答えですが(笑)。バーテンダーになる前に某会社でエンジニアをやっておりまして、つまりエンジンの設計士なんですけれども。それで暫くアメリカで仕事をしていたのですが、その会社を辞めて、よりエンジンの設計に特化した会社に転職をしようと思いまして、退職して準備をしていたんですね。その時にあの911テロが起きまして…。

 K:はい。

 渡邊さん:私、丁度航空機の事業に携わっていたもので、次に転職しようとした企業への話しがテロの影響からとん挫してしまい、時間が出来てしまったんです。退職金も頂いていましたし、日本で骨休めをと思って帰国していたんですけれど、私学生の頃少しだけバーテンダーのアルバイトをしていた事がありまして、その時の方がお店を開かれていて、たまたま街でぱっと出会った時に、「ちょっと時間があるなら手伝ってくれない?」と声をかけてもらい、その時は週2~3のアルバイトのつもりで「いいですよ。」と軽く引き受けたのがバーテンダー人生の始まりでした。その時はまだそんなに長くバーテンダーをやろうとは思っていなくて、志があってバーテンダーを選ばれた方々には不敬なんですけれども始まりはそんな形でした。何も知らないまま怖いもの知らずでこの世界に飛び込んでしまったんですね。半年過ぎ、1年が過ぎて段々とやって行く内に、どうせやるなら凄くまじめにやりたいと強く思うようになってですね‥と言いますのは、毎日毎日悔しい事が増えて来たわけです、自分の至らなさが原因で。折角いらして頂いたお客様にきちんと向き合いたいと思いました。携わったからにはきちっと勉強させてもらおうと自分の中で発起したわけです。今思えばその時が、事実上のバーテンダーの始まりだったと思います。それから働き場所を変えつつダヴコットに辿り着いて、あっという間に数年が経ってしまいました。歳もとってしまいました(笑)。 

K:どの位していらっしゃいます?もう随分長い事されている様な気がしますが。

 渡邊さん:そうですね。バーテンダーを始めてからは9年です。ダヴコットはちょうど6年になります。

K:何だかもっとされている様な気がします。でも911テロの後ですと、そうですね。 

渡邊さん:そうですね。きっかけが緩かったので周りからのプレッシャーが無く、自分で自分の成長に応じて環境を決める事が出来たので続けられてきたのかもしれないです、今から思うと。飛行機を飛ばしていたキャリアよりもバーテンダーの方が長くなりました。 

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K:ところでダヴコットさんは、オープンされてからどの位経っていらっしゃるのですか?

 渡邊さん:1999年にオープンなので11年半ですね。

 K:そうすると渡邊さんが6年位だと仰ると、5年後位にお勤めになったという事ですよね?

 渡邊さん:そうですね。 

K:マスターの秋山さんがお1人でしていらっしゃったという事ですよね。 

渡邊さん:バーテンダーとしてはマスター1人でしたが、長くアシスタントをしてくれていたスタッフのお1人が退職をされるという時期だったようで、タイミング良く私の出る幕がございました(笑)。

 K:その時の面接というのはどういう形だったのですか?ダヴコットさんに飲みにいらっしゃって、いいな、と思って「ここで働きたいです」と仰るのは、どのタイミングだったのですか? 

渡邊さん:以前からカクテルやウイスキーについて、疑問や迷いがあるとマスターにアドバイスを頂戴しに、お客としてダヴコットに通わしてもらっていました。ある時期からもっとステップアップしたいと訴えていたと思うのですが、そんな若手バーテンダーに、そんなに若くはありませんが(笑)、手を差し伸べてくれたように思います。

 K:「面接します」、「はい」というわけでなくて、自然な流れで?「じゃあ」という感じだったのですか?

 渡邊さん:そうですね。それまで沢山話を聞いてもらっていましたので。

 K:それではマスターのお人柄をご存知の上でお勉強をされたいと思われたという事ですよね? 

渡邊さん:そうですね。 

K:その方がいいですよね。気負いしなくて宜しいですよね? 

渡邊さん:それまでバーテンダーの経験が数年ですがあったもので、自分がこういう雰囲気のお店に立ってみたいとか、こういうカクテルを作れる様になりたいというビジョンが少しずつ固まりつつあったのですね。 

K:ええ。 

渡邊さん:その中でこのダヴコットにお客として来させて頂いている内に雰囲気だったり、空気感だったり、カクテルの味だとかそういうものが、凄くビビッと来たんです。皆さんもご経験があると思うのですが、かかっている音楽でしたり、もっと言うと音量も重要ですね、そこに流れている心地良い風の様なものだったり。照明の調光でしたり。もちろんバーテンダーも重要です!固よりお酒も!つまりダヴコットが好きになっちゃった、という事です(笑)。

 K:ええ。学生さんの時にアルバイトさんとして入られて、経験されて、そして911テロがあった後に知り合いの方にお会いして週2~3回バーテンダーをされた時と、又こちらで働きたいと思われた時のギャップはありましたか?今までの経験あるBarと実際にダヴコットさんに入られた時のギャップはありましたか? 

渡邊さん:最初ダヴコットに入った時はガチガチでしたね。凄いガチガチでした。 

K:ええ。 

渡邊さん:それまで勿論お酒を作っていましたし、接客もさせて頂いていました。

 K:そうですよね。 

渡邊さん:それでも凄く緊張しましたね。気負いは無かったつもりなのですが、やはりクオリティーが高いというか、その時の自分にはまだまだレベルが高くてですね。痩せました、1回。

 K:え?そうですか。その事で? 

渡邊さん:うん、その事で(笑)。緊張しましたね。 

K:1番緊張した時とは、皆さんの前でカクテルを作る時ですか?場の空気を作る事ですか?

 渡邊さん:そうですね、空気感や雰囲気って、どちらか一方が作れるというものではなく、お互いが作り合うものだと思うのですね。バーも然りで。お互いが良い空気を作って同じ空間を大切にしたいと思うんです。その頃の私は、それをどうしたら作れるか分からなかったんですね。お互いで作り合うという事が分からなくて、その日のお客様の様子だとかなかなか見れていなかった思うんです。尚更何をしていいか分からずカウンターの中で、1人、混乱しているわけです。例えば声のトーンだとか、お話しの仕方ですとかお互いの立場を察する事が出来ると、自然に気持ちのいい空間になるんですよね。

 K:ええ。 

渡邊さん:そういう事が少しずつ分かる様になるまでは、失敗と反省の連続で緊張というよりはカチコチに固まっていたという感じでした。1番にあがってしまったのはお客様からご注文を相談された時でしょうか。ダヴコットはマスターが作った詳しいメニューが置いてあるんですね、辞書の様な

 K:そうですね。 

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渡邊さん:ただ、相当数のお客様が直接マスターに今日の気持ちとか、または幾つかのご要望を言われたり、時には、丸投げをされたりしながら、ご一緒にカクテルを決めたりウイスキーを決めたりという事が結構あるのですが、もし私が聞かれちゃった時に、どう応えたらいいのか毎回ドキドキしていました。ただ商品知識を言うだけではなくて、実はどういう風なものをどういうイメージで仰っているのかを会話の中で引き出させてもらうんですね。それによってより合うものを提供させて頂くというか。たまに、少しずれてしまったけれど、お客様自身は意外な発見と喜んで下さったりとか。とにかく、お話をするという事が重要だとは分かってはいるのですが、いざ、それを自分に振られたらどうしたらいいの?みたいな。

 K:最初の方にその様なお客様に当たったのですか? 

渡邊さん:暫くはあまりなかったですね、お客様の方も私の様子を察していらしたんでしょう(笑)。たまにそういう機会があっても必死すぎて何てお答えしたのだか…。商品知識を羅列しただけで、何だかあまり引き出せないままお作りしちゃっていたのかもしれません。段々とですが先ずはマスターの知識を盗もうと思いまして、お客様との会話に耳をそば立てて「なるほど」みたいな。例えばですが「さっぱり」という表現もお客様によって様々なんですね。ジントニックを甘いという方がいれば、ライムが効いていてさっぱりするという方もいらっしゃいます。その方の甘酸味やアルコールの強弱に出来るだけ感覚を近づけるようにしていくんだな、なるほどと、聞いているわけです。先ずは真似しようと、マスターの。 

K:ええ。 

渡邊さん:そこからでしたね。ガチガチになりながら瞬きをせず横にいましたね(笑)。 

K:(笑)そういうお気持ちでいらっしゃるから。実際はどうなのですか?秋山さん(マスター)は教えて頂ける方なのですか?マスターは元々教師でいらっしゃいましたものね。でもそれでも見て盗めという方なのですか? 

渡邊さん: そうですね。勿論聞けば教えてくれますが、基本的に見習い、見て習う。マスターもそういう修業をして来たんでしょうし、見ていなさい、という感じ。でも意外と見ていなかったり(笑)。反省するところは多分にあります。でもそうですね、ダヴコットのメニューを見て分かる通り商品の説明が豊富なんですね。もともと英語の先生でしたから何か調べ物をするのにも英語の資料も理解出来てしまうんですね。

 K:ええ。 

渡邊さん:ですから日本語訳になっていないウイスキーの情報も本で調べたり、英語のサイトも直ぐに読めるので、私は後からそれを盗むと(笑)。そういう感じですか。

 K:ええ。 

渡邊さん:研究熱心な所を見習って、何かあれば調べる様にはしています、今では。

 K:いつ位から慣れて来たな、と思われます?大体。

 渡邊さん:大体ですか?最近です。 

K:最近?今お一人でお店に立たれる様になってからですか? 

渡邊さん:「なれる」という言葉は色々意味があって決して良い意味だけではないですよね。「慣れる」「馴染む」といいますか、これは良いのですが「狎れる」というのは怖いんです。ルーティーンワークになってしまうとすぐに「狎れ」に陥ってしまう。自分で自分をジャッジしながら、気を引き締め、時には楽天的に心の幅を持つ事で、「狎れ」ないように心掛けています。また、別の緊張感が増えました。 

K:私最初にお会いしたのはどの位前ですかね?どの位前だろうと考えて... 

渡邊さん:どの位ですかね。 

K:後、どのタイミングでこちらに伺ったのかも覚えていないのですよね。ご無沙汰している時は1年位ご無沙汰していますし、2年は離れていないと思いますけれど。 

渡邊さん:Kaoriさん、何故こちらにいらっしゃったのですか? 

K:そうなのです、私自身がどのタイミングか覚えていないのですよね。 

渡邊さん:何で知ったのでしょうね? 

K:ダヴコットさんを知ったのはどなたかのご紹介だったと思います。本当に覚えていないのです。浦和にこちらの様なBarがあると思わなかったですし。言い方は失礼かもしれませんが、自分にしっくりくるBarという所が。でも本当にきっかけは覚えていないのですよね。私が伺った時は既にいらっしゃったから。

 渡邊さん:いつからなんでしょう。自然にいらっしゃいましたよね? 

K:ええ。自然に、でした。そしてその頃はマスターもいらっしゃったので、お写真のレクチャーをして頂いて。その前からですね。 

渡邊さん:いつの間にかいらっしゃったなという感じですよね。 

K:お電話をしてから伺っていましたよね。何時頃こちらが混むのか分からなかったですから。私は大抵Barへはご連絡してから伺う事にしています。待つのが好きではないものですから。

 渡邊さん:なるほど。 

K:ただそちらのお店のリズムが分かれば、日曜日の夜は比較的空いているな、と分かればそのまま突然伺ったりしますが、基本的にはお電話をしますね。初めて伺うBarでも...。

 渡邊さん:いつからいらっしゃったから分からない位自然でしたね。(2へ続く

 

※次回掲載予定日 1/21(金)

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