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単独インタビュー第11弾 「信濃屋食品 北梶 剛氏、緒方 博之氏を迎えて(最終章)」

9 9月 2011 3,037 views No Comment

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K:Q7、お2人共お互いを認めていらっしゃいますが、お互いの尊敬出来る事を1つ挙げて頂けますか? 2つでも3つでも良いのですが。まずは褒め上手な緒方さんから。

緒方さん:うーん。大丈夫かって思う位突き進むんですよね。 

K:ええ。 

緒方さん:こっちが心配する位。「体大丈夫?」とか「お金あるの?」とか。 

K:ええ。 

緒方さん:それでも特にウイスキーに取り憑かれているから、自分で売り場に廻って顔を覚えてもらって、その後うちで選んだ商品を売って、それを自分の物にするんではなくて店舗、仲間に広げてお客さんがそこにいるからそこに行って来てくれよ、と。下も育成しつつ、自分も自分の時間とお金を割いて色んな所へ行くっていう、そのバイタリティーは真似出来ない。

K:ええ。 

緒方さん:それだけこの仕事が好きでやっているんだなと思う所が尊敬出来ますよね。それがあるから俺も楽しく仕事をさせてもらっている。 

K:ええ。良い刺激になっている部分もある? 

緒方さん:刺激にはなりますよ。 

K:ええ。 

緒方さん:影響を受け過ぎて同じ様に行ってしまうと俺の方が潰れる。 

K:(笑) 

北梶さん:刺激を求めているんですよ(笑)。 

緒方さん:持たなくなっちゃうんですよ。熱過ぎる位熱いと言うのは。変な話、普通に仕事していれば食って行ける訳ですよ。

K:ええ、そうですね。 

緒方さん:ただそこで一歩前に、人よりももっと前に行こうという姿勢と行動が結び付いている所を尊敬しますね。実際思っていても出来ない事って多い。そういうとこですかね。 

K:緒方さんはどちらかと言うと、普通に過ごして行きたいという人なのですか? 

緒方さん:そんな事は思っていないのですが、自分のやってみたい、今与えられている環境でこれをしたいとか、あれをやりたいとかって言うのはあるんですけれど、あのそういうのをたまに忘れちゃうとか力を抜くとかどうしても出て来るんですよ、僕の場合。そういう時もリラックスする事も大事なんですけれど、ふと気付いた時に、じゃあ北梶さんがこういう情報取って来た、Barでこういう事をしたという話を聞くと、俺もそういう最近ガッツを忘れていたから、先程少し行っていないお店があるって言いましたけれど、ちょっと行って自分を売らないといけないな、と。波がありますけれど、俺が落ちている時にそういう話を聞くと、ウっという気持ちにさせられますよね。 

K:ええ。確かにそうですよね。凄く良い存在ですね、北梶さん? 

北梶さん:ああ。 

K:今振られると思っていなかったですよね? 

北梶さん:いきなり振られたからびっくりしました(笑)。 

K:それを受けて北梶さんはどうでしょう? 

北梶さん:うーん、結構そういう感じで行きたいお店とか飲んでみたいお酒とかそういうのは頭で考えないで感じる事が多いんで気が付いたら行動しちゃってる感じですかね、Barに行ったらそこで美味しいのを飲んで教わって何かインスピレーションをもらって。飲みたいなとか気になるなって言うのを手当たり次第色々とやって。そこで学んだことや感じ取った事を伝えるにも僕は話すのが苦手なので中々上手く伝えられないんですが、効果音でこれ「ガっと開いて美味しいんだよ」とか、「南国フルーツどーん」とか、「シェリー熟成ガツン」とか。 

緒方さん:(笑)。 

北梶さん:そういうのを何故か緒方さんは拾ってくれるんですよね。2人の間でミーティングの時間とかはそんなに設けないのですが、強いていえば地元の焼き鳥屋で飲みながらミーティングする位(笑)で。少ないやりとりの中で自分のやろうとしていることを理解して、細かな所までフォローしてもらって。 

K:ええ。 

北梶さん:スコットランドへ行った時も僕とかは手当たり次第サンプリングしてイメージを膨らませて販売戦略を練るわけですが、そんなんでスケジュールや言葉の面など手の回らない所を手際良くフォローしてくれるんで。おかげで集中して仕事が出来ています。そういうのもあって一緒にBarに飲みに行ったりする事は多いですかね。やっぱり一緒に飲んでいて、経験値を増やす事によって、お互いの感覚も伝わり易くなりますので。 

K:ええ。先程からタイプが違うと伺っていますけれど、共通する部分は1つはあると思うのですけれど、お酒が好きという以外で何があると思いますか? 

北梶さん:あとはこれもお酒に繋がる事かも知れませんが、2人共これまで良いお客様に支えられて来ている事ですかね。今日はカリラさんに来ましたけれど、色んなBarへ行ってバーテンダーの方に色々と教わっているから、逆にその方達に恩返しをしたい感覚は2人とも共通してます。美味しいのを飲んでもらいたいし、飲みたいし(笑)、色々と教えてもらっているのに、「なんだよ、全然いい商品持って来ないじゃないか」みたいには言われたくないですし(笑)、折角ですからそれを商品として返したい、というのが2人の根本にあるんです。だから突っ走ってもフォローしてくれるんだなと。特に自分は「こうこうこうだから」、とか言ったりも教えたりするガラでもないんで。 

K:ええ。 

北梶さん:部下が居てもとりあえず思って、何かを感じたんだったら行動させる方なんで。ただそんなんだから、中々スタッフには伝え切れてない部分も少なからずあって。緒方さんはそういうのも上手く噛み砕いて周りに伝えたりしてくれているんですよね。 

K:でも逆に会えたから良かったと言う部分が大きいですね。 

北梶さん:そうですね。 

K:お仕事をしている上で、そうそう難しくはないですか?お互いがこう、上手く行く相手と出会うのは。特にこだわりを持ってのお仕事だと余計に。お話を伺っていてもお互いを本当に尊敬していらっしゃるし、そういう方と出会えた事は羨ましいかなと思います。 

北梶さん:そうですね。運が良かったですね。緒方さんに限らず他のスタッフにしてもそうだし、インポーターさんやバーテンダーの方に良くしてもらっているのもそうだし。たくさんの人に支えてもらっているので本当に感謝しています。 

K:そういう所を本当に大事にされていますよね。

北梶さん:そうですね。だからもっといいもの選ばなきゃ、もっと美味しいものを選ばなきゃという感じで今以上に突っ走っていけたらなと。 

(途中でお写真を撮らせて頂いている際、お写真について色々と緒方さんに伺っていると...) 

北梶さん:緒方さんの拘りは、凄いと思いますよ。そういう所は自分が持っていない所だし。 

K: ええ、確かに拘りをお持ちでいらっしゃいますよね。有難うございます。

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Q8 それでは私の定番です、Barで感動した出来事を教えて下さい。まずは北梶さんから。 

北梶さん:僕からですか?色々あるから、どうしようかなと思って。緒方さん先で。 

緒方さん:(笑)。些細な事ではあるんですけれど、誕生日の1杯を出してもらった時(笑)。覚えていてくれた時。 

K:分かります。 

緒方さん:常連として認めてもらって、酔っ払いながらの会話の中で自分の誕生日をいつ言ったのか忘れている様な中で、たまたま自分の誕生日に行った時に「おめでとうございます」と。 

K:凄い、嬉しいですね。 

緒方さん:何で?俺言ったっけ? 

K:今でも行っているBarなのですか? 

緒方さん:そこは1回閉められているんですけれど。 

K:Barのシーンは、時々テレビでも出て来ますよね。 

緒方さん:うん。 

K:私も横浜のホテルに泊まった時に、次の日が誕生日で、その時に「誕生日なのですよね」、というお話をしたら、0時になった時にカクテルを出して下さって。そこのホテルのBarには初めて行っているし、そういうのが嬉しかったですね。そういうつもりで言っていないけれど、初めて行っているのに関わらず。嬉しかったですね。ですから気持ちが凄く分かります。

北梶さんは、出て来ますか? 

北梶さん:日々感動なんですけれどね。 

K:はい。 

北梶さん:昨日もここカリラさんで美味しいもの飲ませてもらって。倒れそうでしたし(笑)。

K:ええ。 

北梶さん:美味しいものを飲ませてもらった時は日々感動なんですが。あえてロマンティックな事といえば・・・。自分が初めて行ったオーセンティックなBarでカクテルバー・ブルームーンさんというBarがありまして。今でも公私共に良くして頂いていて、地元の兄貴のような存在なんですが。そこで初めてシングルモルトの基礎を教えてもらって。札幌の酒屋からドイツで働く事が決まった時期に、その事をマスターに話したときに出してもらった一杯で、ラガヴーリンにドランブイと蜂蜜でアバディーンアンガスというカクテルがありまして、レードルのドランブイに火を灯して、それをラガヴーリンの中に入れてつくるものだったのですが。 

K:ええ。 

北梶さん:「ドイツへ行ってちょっと離れちゃうけど、情熱の火を絶やさない様にずっと美味しい物を選び続けてくれ」と。それは感動しましたね。うるっときました。 

K:ええ。 

北梶さん:ただ、実はその時マスターが漫画のバーテンダーに凝っていて(笑)。その中で出されたカクテルを自分の状況に置き換えて出してくれたわけだったんですが(笑)。 

K:ええ。

北梶:そういう漫画みたいな事をやってくれる様な、お酒をそんな感じで楽しませてくれる素敵な人なんですけれど。それは今でもやっぱり覚えていますね。 

K:そちらは、札幌にあるブルームーンさんなのですね。 

北梶さん:はい。他にも僕は本当に沢山の方にお世話になっているんで、札幌でも皆さんにご紹介したいBarはいっぱいあるんですよ。THE BOW BARさんでは札幌にいた時からオールドボトルの魅力を教えて頂いて感動しましたし、Diversionさんではモルトの他にリアルエールとか当時札幌ではなかなかの飲めないものを教えて頂きましたし、無路良さんは札幌にいた時はお伺いしたことがなかったのですが、今では帰省した時には必ずと言ってよいほどお伺いして美味しいモルトを頂いておりますし・・・。是非インタビュー記事にて紹介しておいてください(笑)。 

K:勿論。 

北梶さん:自分の場合は札幌でモルトを飲んで、その魅力を知ったので。それがなければ、モルト業界というか、ここにいないし。ドイツへ行ってリンバーグでハイランダーインの皆川さんと出会う事もなかったでしょうし、今、東京でお世話になっている多くのバーテンダーさんやお客さんとお会いする事も出来なかったでしょうし、まだお伺い出来ていない素敵なBarやお客様との出会いにも繋がりませんし・・・。そう思うとやっぱり地元の札幌のBarの皆さんには感謝してもしきれないですね。 

K:そうですよね。きっかけを作って頂いたのですものね。他も言いたいBarはたくさんあるのでしょうが、きっかけを作って下さったあえて地元のBarを今出されたのですね。 

北梶さん:そうですね。 

K:有り難うございます。

 

~次のウイスキーを待つ迄の会話~ 

K:やはりBarは良いですよね。 

北梶さん:そうですね。バーテンダーさんには日々そういう美味しいお酒や感動を与えてもらっているんで。そんなバーテンダーさん達や、緒方さんをはじめ弊社スタッフは勿論、他にも自分達のお酒を、まだお会いした事ないバーテンダーさんやお客様へお勧めして頂くモルト愛好家やテイスターの方々、自分達のニーズに応えて頂いているインポーターさん、同じ酒屋の立場では栗林さんのような偉大な先輩もおりますし、スコ文研さんもあります。そんなウイスキーに関わる人たち全てが一丸となって業界を盛り上げて行く事が出来れば一番素敵ですよね。 

K:そう思います。  

K:Q9それでは最後となりますが、読者の皆様へ一言と女性の方へ向けての一言をお願い致します。

北梶さん:まずは普段うちのお店を使って頂いてるお客様に、有り難うございます!美味しいお酒を置いてあると期待して信じてご来店頂き、そこでご購入まで決めて頂くお客様の為にも、その期待と信頼を裏切らない様に、経験を積んで勉強して学んで行くんでこれからも宜しくお願いします!女性の方には、シングルモルトとか特にウイスキーを飲む機会が少ないと思うので、まず気軽に、Barの扉を開けてみて欲しいですね。中々1人で行く機会って少ないと思うんで友達でも誘ってみて気軽な感じで。自分は蘊蓄を言ったりするのが仕事の癖に、Barで飲むときは純粋に、気軽に楽しんでいますし、お固い所であったり、難しい感じで飲んでいる人ばかりではないので(笑)。お酒は楽しむものですから。値段が高いお酒も安いお酒も雰囲気で美味しくなったり、そうでなくなったりするじゃないですか。だから本っ当に気軽に入って来て欲しいですね。あ、Barだけじゃなく、うちのお店にも(笑)。 

K:ええ。有り難うございます。他に何かありますか?この場で伝えたい事等あれば。 

北梶さん:酒屋っていう仕事はきついだけで大変だと思われがちですが、その分やりがいや魅力が予想以上にあるという・・・。

 K:ええ。酒屋さんというのは、楽しいよ、と。若い方も(仕事として)来てね、という事ですよね? 

北梶さん:そうそう。最近若い子が中々来ない(笑)、Barの方や色んなお客様とも会えますし、お酒だけじゃなくそんな方々との出会いも楽しいし。だからお酒に興味がある人がいたら是非。うちの会社が募集しているか分からないですが(笑)。 

K:酒屋さん業界にももう少し若い方が入って来て欲しいと。 

北梶さん:そうですね。 

K:緒方さん、締めを一言、お読みになる方に対して是非お願い致します。又女性にウイスキーをもっと召し上がって頂きたいですし、Barにも行って頂きたいので何か一言お願い致します。 

緒方さん:見て頂いている方は、ウイスキーがお好きな方だと思うので。この数年でうちも現地に直接買いに行ったりですね、昔の、数年前よりもより一層生産地に近い環境で、お客様の応援のお陰で現地に行かれる様になっています。どうぞこれからも期待して頂いて、期待を裏切らない様に北梶が中心になって、良い商品を、お客様が欲しいと思う商品をどんどん作って行きます。期待して欲しいと思います。 

K:はい。女性に対しては? 

緒方さん:まだBarって敷居が高いと思われている傾向にあって、結構あると思うんです。それは一切ないですから。中には女性1人では入れない所があるみたいですが、基本的にそんなにたいそうなわけではないですから。 

K:そうですね。 

緒方さん:1杯で帰っても良いわけですから、今日飲みたいと思ったら扉を開けるという勇気を持って欲しいのと、「それでも私にはその勇気がなければ男に連れて来てもらえ」と。 

K:(笑)、そうですね、そうですよ。

緒方さん:はい。それで奢らせると。

K:はい(笑)。 

緒方さん:そしてそこでBarを経験すると。 

K:そして次からは1人でも。 

緒方さ:そこで打ち解けたら、多分あなたにとっていいBarです。じゃないですかね。 

K:ええ。有り難うございます。最後に緒方さんから伝えたい事等ありますか? 

緒方さん:特にないですよ。うちのWEBサイトを見てください。カタログ代わりに使って下さい。よそで買ってもいいし、うちで買ってもいいし。でもうちで買ってもらえるように頑張りますけれど。 

K:この度は貴重なお時間を頂きまして、誠に有り難うございました。 

北梶さん、緒方さん:有り難うございました。

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Kaoriの総論

今回は初めてお2人同時インタビューをさせて頂きました。以前から存知上げるお2人の素晴らしさを感じておりましたのと、酒屋さんという今迄とは違う方からお話をさせて頂く事が面白いと思い、こちらが実現する運びとなりました。北梶氏の突き進む情熱と緒方氏の静かながら感じる情熱をこちらのインタビューを通して感じる事が出来ました。そして様々な方が繋がって私達が愉しむ空間が出来るのだと改めて思いました。今後も幅広い視野を持ち、私の行動に繋げて参りたいと思います。

ワイン館夜2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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※取材協力 信濃屋食品 http://www.shinanoya.co.jp/ 

※Bar CAOL ILA http://caolila.jp/

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