単独インタビュー第19弾 「Bar Scotch Cat オーナーバーテンダー高橋 妙子さんを迎えて(3)」
K:実は、Q2、スコッチキャットさんを立ち上げられるまでの経歴を簡単に教えて頂けますか?の次のご質問まで思わず聞いてしまいました。
高橋さん:いえいえ。
K:有り難うございます。その良い経験をされたというBarは、どの位いらっしゃったのですか?
高橋さん:そこは本当に短かったです。4カ月、5カ月しかいられなかったのですけれど、やっぱり遠くて通いきれず、その時は事情があって1人暮らしをするわけにはいかなかったので、
K:ええ。
高橋さん:いざ、社員になって毎日フルで、っていうお話を頂いたのに、今引っ越してここに来る事が出来ないっていう、状態でとても通いきれなくてって。
K:でもそういう状況の時はありますよね。
高橋さん:そうですね。本当にやりたかったんですけれど、中々その時は引っ越してすぐにフルパワーでと行かない状況で、泣く泣くというか、涙を飲んで、もうちょっと家の近くで探そうという事で平塚に来たんですね。
K:そうですか。平塚で、こちらのお店をされる前は?違う所でされて?
高橋さん:そうです。平塚のすぐ近くなんですけれど、ピアノフォルテ、というジャズバーがあって、たまたまじゃあ、家から通える範囲でどこかなって隣町ですからね、探している時にそのインターネットで見付けたんですけれど、そのお店でスタッフを募集していると見て、で、ネットを見ましたと。平塚だったら通えるし、という事で、面接に来てって言う事で。その平塚のお店に丸6年お世話になって。1番長くなりましたけれどね、そこが。
K:そちらから、今のこちらのお店を。いつかはご自分のお店を、と思っていらっしゃった?
高橋さん:皆さんにそう言われるんですけど、
K:ええ。
高橋さん:女バーテンダー1人独立するっていう、皆さん、いつかは、と思っていたんでしょう?って、夢だったんでしょう?って凄く聞かれるんですけれど、こんな事言われると叱られるんですけど、私そこまで真剣にそこを考えていなくって、
K:はい。
高橋さん:ただ思っていたのは、なるべくこの仕事を長く続けたい、
K:ええ。
高橋さん:だから例えば独立するでもいいし、雇われでも良いからなるべく長くこの仕事をしたくて、それだったら雇われていても構わなかったんですね。だけど、ある程度この仕事の経験が長くなって来て、当然歳も取って、私いつまでこの現場に立たせてもらえるのかな、って。例えば、40歳なり、50歳なりに、60歳になり、おばさんになり、おばあちゃんなって、果たしてこの現場に立たせてもらえるのかな、と思った時に、もしかしたら、難しいかもしれないって。そしたら自分で独立してしまったら、自分のお店になってしまえば、私一生現場にいざるえない、自分しかいない、自分のお店だから、と思って、思ったら、この仕事をずっとやりたいんだったら独立しちゃうしかないのかなって。うっすら思い始めたんですよね。
K:はい。
高橋さん:そんな時に、周りの方にチラッてお話をすると、周りの人が良いじゃん、何で独立しないの?って皆さん、背中を押してくださったので、じゃあ、やっちゃう?本当にやっちゃうの?っていう(笑)。
K:(笑)
高橋さん:っていう感じで、じゃあ、やっちゃおうか、何とかなるかな、って感じですね、最初は。
K:そうだったのですね。
高橋さん:でも不思議なものでそうなると周りからどんどんお膳立てが整って来て、いざじゃあやろうかなと思って、今年中にやろうかなと思って、お正月に思って、今のところを引き継ぎして辞めて、物件を探して、とお正月くらいに思って、思っています、という話を前のお店のオーナーさんにしたら、「じゃあ物件探しもあるだろうし3月いっぱいでどう?」と急に決まり、わー、じゃあ急いで物件を探さなきゃ、って。
K:(笑)
高橋さん:私事業計画書の書き方も知らない、
K:そうですよね。
高橋さん:というところから始まって、事業計画書の書き方を勉強して、銀行さんへ行き、というところから始まって、でもそれにあたって、周りから教えてくださる方がいたり、銀行さんを紹介してくださる方が出てきたり、不思議と周りからお膳立てが整って、何とかかんとか気が付いたらオープンしていました、という感じですね。あっという間でしたね、だから。
K:そこに辿り着く迄、今お話を伺って思うのが、逆らわない、ご自分の気持ちに素直でいらっしゃって。その環境を私はこうだからという風に考える方って実際は多いらしいのですよね。私の話を少ししてしまうと、私がこういう事をしたいと思ったら、してしまう。ですので逆に聞かれたのです、あるBarのオーナーの方から。「皆ね、したいと思っても出来ない人が多いんだよ、それをどうしてしようと思ったの?」と逆に聞かれて「え、何となく、です」と答えて(笑)。
高橋さん:(笑)。
K:というので、妙子さんが仰っている事が分かるのですが、
高橋さん:そうですね。
K:その流れをある意味素直に乗っていらっしゃったのかな、と。
高橋さん:うーん。
K:勿論、色々とお考えになる事はあったと思うのですが、流れを止めずにいらっしゃったのかなと。
高橋さん:多分、人一倍小心者なんですよ、私。こんな事言うと皆さん信じてくださらないんですけど。
K:(笑)。
高橋さん:人一倍小心者で、人見知りで。最初にこの仕事をした時にもそうだったんですけど、私これでバーテンダーなんか出来るのかなと思っていたし。いざ始めてしまったらこれは天職だと、これを一生やりたいと思ったから、だから、こう独立しちゃう?となった時ももの凄くやっぱり自信がないし、躊躇するんですよ。なんだけど想像してみて、「じゃあ私もしかしたら、このまんま結婚してお母さんになるかもしれないし、バーテンダー辞めてたまーにBarに飲みに行く?」という自分を想像してみて、「凄く悔しいって思わない?」って。
K:ええ。
高橋さん:私絶対ここに戻って来たいと思うんじゃないかと思って、そうなったら悔しいよねって。やきもきしながら、この仕事に戻りたいと思って後悔するのかなと思ったら、確かにお店を1人で独立してやって、それを継続していく事って難しいかもしれないけれど諦める事の方が難しいって思ったんですよね。これを諦めるってちょっと難しいかも、って。そうしたら、やりたいんだったらやるしかないって(笑)。それが、やる気だったのかな、と思いますね。後は、ツイているんだと思います、何か。多分必要な時に必要な人に恵まれるというか、それは我ながらラッキーだったなと思いますけどね。
K:それはね、私も有り難い事に言って頂く事があるのですけれど、それは妙子さんのお人柄、だったり、そういうところがあって周りが助けたいって、思うのではないかな、と思うのですけれどね。
高橋さん:ええ。
K:ね、中々その人がその人の事を思わなければ助けないでしょうし、自分も逆の立場だったら、この人だったらと思う方と、もしかしたらそうではない方も、もしかしたらいると思うのですよね。
高橋さん:それは本当に有り難くって。勿論それは、前から感謝はしていますが、色んな方に、お客様だったり、でも自分1人で始めてみると尚更ですよね。本当に綺麗事じゃなくって、包み隠さず、本当に感謝、皆にこんなに良くしてもらって、本当にもう心の底から思っていますね。
K:芸能人の方がお客様は神様です、と言って、
高橋さん:ええ。
K:有り難いというのを...思うのですが、私はずっとお客様のお仕事をさせて頂いているので、一般の方よりも「有り難うございます。」、と言っているのは多いと思うのですよね。
高橋さん:うん。
K:その中で感謝をするのは、凄くこう、若い時と言ったら変ですけれど、売られたケンカは買います、という考えから、ある時から、あ、有り難いなと思って。
高橋さん:ええ。
K:感謝をする気持ちは、時々忘れそうになってしまいがちなのですが、どうしても、どうしても。いつもそういう気持ちでいたいのですが、自分に余裕がなくなったりすると感謝をするって...と思ったりするのですが、でも最終的にはそこに辿り着くのかなと。私がお付き合いさせて頂いている方は、やはり感謝をしている、だったり、有り難いと思っていると、どなたも仰るのですよね。
高橋さん:うん、うん。
K:でもそういう方とお会い出来ているから、私もそういう方とお会い出来て、今も妙子さんとお話が出来ているのかなと思っているのですが。そういう気持ちでね、綺麗な言葉だ、と片付けられてしまうかもしれないですけれど、伝えたいというか、思っていたいですよね。
高橋さん:そうですね。
K:何かの時に言いたいですよね、言わないでいるのも良いのですが、わざとらしくは、わざとらしく聞こえたら嫌なのですが、言いたいですよね、伝えたいですよね。
高橋さん:そうですね。今までって感謝だったり、あまりに綺麗で、気恥ずかしくて、
K:ね、はい。
高橋さん:照れくさくて言えなかったんですよね(笑)。
K:(笑)。
高橋さん:それこそ言うとわざとらしいんじゃないかという気がして、他に知っている言葉がないから。でも恥ずかしくて、照れくさくて言えなくて、でもこの仕事を始めて、本当に、正にその通り感謝なので、しょっちゅう口に出して言わなくても、私がこの仕事をなるべく長く続けているだけで、感謝のお返しなのかな、と、思っているので、今はなるべく頑張って、長く元気に仕事をしなきゃなって、思っています。
K:そうですよ。いらっしゃる方々は、先程いらっしゃった方もそうですし、こちらを最後に一息つく方が多いと思いますので、その方達の癒しの場所を失わせてしまう訳ですからね。
高橋さん:(笑)。ね、こんなに応援してもらったのに、応援していたバーテンダーがくじけて駄目になっちゃったら格好悪いじゃないですか。
K:そうですね。
高橋さん:応援したからには、あいつ、ちゃんと頑張っているなと、やっぱり思ってもらいたいですからね。
K:そうですね。それはとても分かりますね。逆にそういう事があるから、自分も続けていかなくてはいけない、
高橋さん:うん。
K:というのは、プレッシャーではなくて、良い意味でのプレッシャー。
高橋さん:そうですね。
K:悪いプレッシャーではなくて、やらなくてはいけないんだ、私、ではなくて、
高橋さん:うん。
K:しなくてはいけないといういい意味でのプレッシャー、ですよね。
高橋さん:私このお店を始めた時に、お客様に冗談半分で言ったんですけれど、私最低でも30年はこの店をやるから、最低でも30年は飲みに来てよね、って(笑)、
K:(笑)。
高橋さん:言っているんですよ(笑)。30年後はいくつになるんだって、元気でいられると思うんですけれど、皆さんも肝臓は丈夫にして頂かないと、この階段を上って来られないから、と、お客様皆に言っているので、口に出して言う事はある意味自分へのプレッシャーでもあるんです。
K:そうですよね。
高橋さん:言ったからには私30年はやるんだぞって、思っているから、
K:そうですよね。言うのは、良い意味での自分へのプレッシャーでもありますよね。
高橋さん:そうですよね。
K:普段中々ご質問出来ないから、この様なお話を伺えて凄く嬉しいです。
高橋さん:いえいえ。こんな話で良いのだろうかと。
K:いえいえ、有り難うございます。(4へ続く) (2へ戻る)
※Bar Scotch Catさんは、明日7/6(土)で、3周年を迎えられます。
※次回掲載予定日 7/12(金)
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