単独インタビュー第20弾 新年企画「Shot Bar Zoetrope オーナー堀上 敦氏を迎えて(最終章)」
K:Q8、ウイスキーがお好きな女性が増えていると聞きます。女性ウイスキーの会にいらっしゃっている女性の方も、「先日Barへ行ったら、女性がウイスキーを飲んでいたの!」、と嬉しそうに仰っていてとても喜ばれているのですが、実際はいかがでしょうか?全てのイベントに出る事が出来ないので、女性の皆様からの情報をいただいて助かっている部分も多々あるのですが…。
堀上さん:うーん。どうなんでしょう。女性のお客様は増えている様な気もしますけど。
K:来店されている方は増えていますか?
堀上さん:女性の方ですか?何となくで言えば、増えている様な気もしますけど...。
K:連れて来られる方は増えていますか?
堀上さん:どうなのかな、正直増えている様な気はしますけれど、はっきりと増えています!と言うほどではない、ですね。
K:ええ、なんでしょう、こうイベントを見ていたりすると、女性がたくさん集まっていました、と、FBでコメントが上がっていたり。参加者の方ではなく、開催側の方々が今回は女性の方が多く、と書かれていると「増えているのね」、と思っていたのですが、あるイベントに参加した際も、確かに女性が増えている気がすると言えば、する。でも以前からそうだったのかなと思えば、そうですし。
堀上さん:単純にうちの店だけだと思いますが、女性よりも外国人率が増えているのが多過ぎて、そっちに紛れちゃっているんですよ。何でこんなに外国人が増えているんだろう、という方にばっかり意識が行くので…。
K:私もその印象がありましたので、少し前の質問をしたのですが、
堀上さん:ま、変な話ですけど、女性のお客様が増えている気はするんですけど、別に日本語で話している分には、そんなに「女性だ」、という意識はしていないじゃないですか。
K:確かにそうですね。
堀上さん:外国のお客様と話していると、どこの国の人だろうかなと思う(笑)。だからはっきりと意識しているんですよ。今ちょっと外国の方が多過ぎて何だか良く分からないんで(笑)。
K:本当にそうですよね。そう言えば、FBに2.5ヶ月振りに、と書いてあったのは何でしょうか?
堀上さん:震災で海外の方の来店が一旦ピタッと止まって、どなたも来なくなったんです。その後半年以上経ってから少し来店する方が現れ始めて、※去年(2012年)の秋から震災前と同じくらいに戻ったかな、という感じになりました。去年の年明けからふっと思って、メモするようにしたんですよ。日々の台帳に付ける時に、お客様の人数の簡単な統計みたいなものを付けていたんです。2回目以上のご来店の方と、まるっきり初めてたまたまいらっしゃった方と、誰かから紹介されたり何かを見ていらっしゃった方と、3つに分けて付けていたんです。それに今度は、日本の方と外国の方の来店人数もメモするようにしたんです。それで外国の方の来店比率が分かる様にしていたら、先日気付いたら最近2.5ヶ月間、毎日誰かしら外国の方がご来店されていて、久し振りにそれが「0」だった、という話です。
K:そういう意味だったのですね。2.5の意味が分からなかったので。
堀上さん:2.5カ月振りに、英語をしゃべらない1日だったっていう話です(笑)。
K:それだけいらっしゃっているという事ですものね。
堀上さん:そうですね。震災前も多いなぁ~と思っていたんです。多い日は3~4組来ていて、でもいらっしゃらない日もあって、結果的には週に3~4日外国の方が来ている感じだったんです。それが最近では、2.5カ月ぶっ通しで必ず外国の方がいらしてたわけですから、外国の方の比率がかなり高くなったのを実感しているところです。
K:凄いですよね。外国の方、とはいえ、こちらの空間に、日本人の方の他、どこどの国の方、どこどこの国の方、例えば、アメリカ人の方もいらっしゃれば、フランス人がいて、
堀上さん:そうですね。
K:という事があるわけですものね。そこで違う国の方同士仲良くなられたりするのですか?
堀上さん:そうですね。外国の方は割と隣の人と「どこから来たの?」と話す事は多いですよね。旅行なの?とか。
K:確かに日本人の場合は、自分個人で飲む、だったり、邪魔をしてはいけない、等考えますものね。酔ってしまったら別かもしれませんが(笑)。
堀上さん:ま、そうですね。
K:有り難うございます。Q9最後なのですが、何か一言ありますでしょうか?
堀上さん:日本のウイスキーも色々とあるので、是非色々と試して頂ければと思います。後は...ウイスキーは勿論なんですけど、日本はウイスキー以外にも色々と良いものを作っているので、是非試して頂けたらと思います。例えば、日本のラムもそうです。滋賀のナインリーブスさんは今一番新しいラム蒸溜所ですけれど、これは今すごくお勧めしています。比較的最近の新しい所で言えば伊江島の「イエラム」とかも面白いです。
K:ええ。
堀上さん:南大東島のグレイスラムさんもありますし、高岡醸造さんの黒糖焼酎っぽいラムも面白いですよ。他にも日本のものではグラッパも美味しいですし。皆さん色々と変わった事をやるんで、日本の酒造りは1番面白いと思うんですよ、そういう意味では。ウイスキーもそうですけど、元々日本のお酒ではないじゃないですか。それをわざわざ作って、今では賞を取るほどになっている。ラムとかグラッパにしても、言ってしまえば別に日本で作らなくてもいい物を、敢えて作り始めてしまう日本の作り手さん達の凄さと言うのが、非常に面白いと思うんです。だって普通に考えたら、焼酎作って、日本酒を作っていれば良いんですもの。
K:ええ、そこをね。
堀上さん:わざわざ日本にない海外のお酒を持って来て、ワインを作る、ブランデーも作る、ウイスキーも作る。やり始めてしまったら、ある程度以上の品質、納得の行く物が出来るまで止めない所が面白い国なんですよ。外国のお客様が多いので、最近特に聞かれるんですけど「何で日本はウイスキーを作り始めたの?」って。それは僕には答えようがないので「何ででしょうねぇ」って(笑)。
K:その様な質問が。
堀上さん:何で作っているの?いつから始めているの?何でこんな賞取るほどになったの?と。外国の人から見ると、日本人以上に不思議に思うんですよね。だって「‘Japanese Sake(日本酒)’は美味しいじゃない?わざわざウイスキーを作らなくてもいいんじゃないの?」って、「自分たちの国の飲み物でもないのに、何でこう美味しいものを作るの?」って不思議でしょうがないんですよ。
K:そうですよね。改めて考えるとそうですよね。
堀上さん:それに対する答えは僕にはないんですよ。敢えて言えば、「だって日本人ってマニアなんだもん」、というしかない(笑)。
K:(笑)。確かに、こう思ったら一途に行きますものね。
堀上さん:外国の人が不思議に思うのも分かるな、と。
K:分かりました。この度は貴重なお時間をとって頂きまして、誠に有り難うございました。(7へ戻る)
※2013年12月にインタビュー
Kaoriの総論
今回は、私がウイスキーを意識し始めるきっかけ(竹鶴12年)になりましたジャパニーズウイスキーをメインにしていらっしゃるZoetrope(ゾートロープ)さんにお話を伺う事が出来ました。ここ数年ジャパニーズウイスキーについて細かく多くの皆様が意識される様になったかと思います。私が好きになり始めた頃は、ニッカ派かサントリー派か、というお話が出ておりまして勿論お詳しい方はお詳しかったですが、おそらくその頃の皆様も伊知郎さんのウイスキーについても教えていただいて知った、という流れであったかと思います。そのジャパニーズウイスキーをメインにされていらっしゃる堀上氏がどの様に思われてお店をされているのかをとても興味がございました。お話をさせていただいてジャパニーズウイスキーのみならず、お店作りの拘り、そして日本が作っている素晴らしいものを知って欲しい、という想いが伝わって参りました。Barでの思い出につきましては堀上氏ご本人も疑問が残る部分もございましたが、Barでの出来事というものは人生においてふとした瞬間に出て来るものかとも思います。又、現在では購入出来ないものもあるジャパニーズウイスキーですが、もし購入出来なかったとしてもBarで一期一会を愉しみ、語り合いながら頂く事も楽しいかと思います。そして、熱く語られたウイスキー以外の日本の素晴らしいお酒について、今後私も意識して頂きたいと思っております。
※撮影協力Bar
Shot Bar Zoetrope
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