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単独インタビュー第10弾 「Bar CAMPBELLTOUN LOCH 藤田 純子さんを迎えて(3)」

27 5月 2011 3,398 views No Comment

その次ですがQ5:ふうさんのモルトウイスキーとの出合い、そして決められないと思いますが、お好きなモルトウイスキー又はお気に入りのモルトウイスキーを教えて頂けたらと思います。 

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藤田さん:私はですね、モルトウイスキーとの出合いは、キャンベル(タウンロッホ)を始める数年前でした。1番最初に飲んだのは、グレンモーレンジの18年ですね。 

K:ええ。 

藤田さん:ポットスチル型の陶器のボトルです。飲んだ時の印象があまりにも強烈で。スウィートでクリーミー。かと思えばハーブやナッツの風味も感じる。様々なフレーバーを感じるのに1つにまとまっている。驚きました。ウイスキーの飲み方でコークハイとか知っています? 

K:私頂いた事がないのですよ。 

藤田さん:本当に? 

K:はい、でも皆さん、コークハイご存知なのですよね。 

藤田さん:バランタインやバーボン、サントリーの角等をコーラーで割って飲んでいたという今とは違う飲み方をしていた、でもそれが私の学生時代流行っていたのですよね。 

K:でもそれを美味しいと仰る方もいらっしゃいますよね?あれが印象に残っているんだよ、と言う方もいらっしゃいますよね。 

藤田さん:いるんだ?本当に? 

K:ええ、聞きますよ。 

藤田さん: 単に酔う為だけの、ウイスキーにとって駄目な飲み方をして、ウィスキーが苦手になってしまっていたのです。当時。でもこのお酒を頂いた瞬間、開けました。ああ、お酒って立体的なものもあるんだなと。

K:それはストレートですか? 

藤田さん:はい。そこからです、モルトウイスキーに興味を持ち始めたのは。それから数年後、中村さんとお店を出すと決めてから、そんなにお酒は弱くない方なので(笑)、3週間位で土屋さんのモルト大全に載っているレアな蒸溜所は無理ですが、ほとんどの銘柄は一通り経験しました。 

K:凄い。 

藤田さん:私は頭で覚えるのはどうも苦手で。経験から初めてそのお酒を理解が出来るので、1つ1つの癖とか特徴とかを掴んで行こうと思って全部飲みました。 

K:ええ。 

藤田さん:毎日毎日通って。良いBarがあるんですよ。それこそオフィシャルのボトルが一通り揃っている。 

K:モルトBarに軌道修正しようと思われてから通われたのですか? 

藤田さん:中村さんに勉強しろって言われて。だからキャンベル(タウンロッホ)を立ち上げる前ですね。1ヶ月前からかな。 

K:凄いですね。お強さは今も変わっていらっしゃらないのですね。 

藤田さん:ううん。変わりました。多分酒量は当時の半分以下だと思いますね。今は量が飲めないですよ。 

K:そうですか?ふうさんがお店に出ていらっしゃらなかった時でも、中村さんが「ふうさん達と朝まで飲んでいたんだよ」、と聞こえて来てずっと飲まれていらっしゃるのだな、お強いんだな、と思っていました。 

藤田さん:確かに365日ずっと飲んでいますけれど、酒量は35歳からガクッと落ちましたね。 

K:本当ですか? 

藤田さん:はい(笑)。 

K:そうですか。 

藤田さん:だけどウイスキーならいくらでも飲めますね(笑)。テイスティング会等だと、私欲張りだからここぞとばかり2~30(杯)は飲んじゃいます(笑)。 

K:さすが。でも全部覚えていらっしゃるんですよね? 

藤田さん:ううん。最初の方だけ(笑)。 

K:(笑)。 

藤田さん:そう覚えていないんですよ(笑)。最初はね、皆みたいに書いていたんですよ。忘れないようにと思って。でも嫌になっちゃう時ってあるじゃないですか?   

K:ありますね。 

藤田さん:美味しいなと思うのだけ覚えていて、後は忘れている(笑)。30(種類)飲んだとしても4つ位しか覚えていないですね(笑)。駄目ですね。 

K:良かった。30種類ではないにしろ、15、20種類覚えていると仰ったら、やはりそうですよね、と。流石ですね、と。 

藤田さん:ごめんなさい(笑)。 

K:ええ。そこから話がずれるかもしれないですが、これを買った方が良いよ、飲んだ方が良いよ等、どなたが仕入れていらっしゃるのですか? 

藤田さん:それは勿論中村さんです。お客様からの信頼があるし、間違いがないので。後、業者さんとの信頼関係があるので。 

K:ふうさんが美味しいと仰ったウイスキーは?

藤田さん:それは中村さんがちゃんと探して来てくれます(笑)。それで必ず置いてくれます、それは。 

K:ええ。 

藤田さん:私の意見も尊重してくれるので、それは有り難いなと思っています。 

K:キャンベルさんだと、ボトルの回転が早いと言うではないですか?どなたか美味しいと言うとすぐになくなってしまいますよね? 

藤田さん:早いですね。 

K:どの様な流れなのですか?1本開栓しました、それからどの位なのですか? 

藤田さん:特に皆さんもご存知なレアなボトルなど開栓しましたら、早い時は3日ですね。 

K:それは毎日いらっしゃる方もそうでしょうけれど、それとも情報を聞きつけて、ですか? 

藤田さん:そうですね。インターネットが広まってからですね。 

K:ええ。 

藤田さん:その情報で、何処かで飲んでいる方達も皆キャンベル(タウンロッホ)に集まり始めるんですよ。その日の内にワイワイ来られて、3日でなくなっちゃいます(笑)。勿論有り難い話なんですけれども。 

K:ええ。 

藤田さん:だからインターネットのコミュニケーションの輪って凄いなと、驚かされていますね。 

K:今は呟きでもすぐに写真が載せられたりするのですよね。例えばミクシィは以前はツイッターの様なものがあっても写真が載せられなくて言葉しか書けなかったのですが、今は写真もすぐにアップ出来るので、「このボトル」と、アップされればこれは何だろう?となりますし、皆さんお優しい方が多いから、私が何かを好きだとご存知の方から、普段出ていないものがBarに出ているよ、だったり、そういう情報を教えて下さる方もいらっしゃるので助かります。なのでそういうコミュニケーションが取り易い環境ではありますよね。

藤田さん:そうですね、ミクシィって凄いですね。 

K:凄いですよね。それでお好きなモルトは?又は忘れられないモルトは? 

藤田さん:シングルモルトはそれぞれの個性を楽しむお酒でしょう?皆さんシングルモルトを飲むからにはきっと全蒸溜所がお好きだと思うんですよ。私もそう。でもその中でも強いて言うのであれば、アイラではラフロイグ。本土ではスプリングバンクですね。ラフロイグのハウススタイルも勿論、蒸溜所の情景も好きだし、所長のジョン・キャンベルも素敵な方なんですよ。ニヒルでダンディ、ジダンの様な(笑)。オフィシャルの安定感を含めて大好きです。スプリングバンクは店の名前にもキャンベルタウンと付けてしまったので、格別な思い入れもあるかもしれないです。スプリングバンクってとても難しいお酒なのですよ。

K:ええ。

藤田さん:スプリングバンクは飲むしかない。数を飲んで分かるお酒なので。 

K:難しいと仰るのですが、難しいとは私達はどう理解すれば宜しいのでしょうか? 

藤田さん:上級者向けのお酒に入ると思うんですよ、私は。スプリングバンクは地形的に言っても、ローランドに近い。大西洋にも面していて、潮の香りもする。勿論、ハイランドの要素も持っている。ハイランドの華やかさはローランドのオイリーさ、そして潮、ピーティ。この要素を足す事で、全く違ったフレーバーのウイスキーを作り出している。蒸溜が2回半と言う事もこのほかとは全く異なった複雑な個性を生み出しているのです。 理解するのに経験値が必要なお酒ってあるんです。 

K:経験値? 

藤田さん:輪郭が見えてこないと言うか。単純ではないと言うか。又北ハイランドのグレンモーレンジも上級者向きなお酒だと思います。 

K:はい、グレンモーレンジもそういうお酒なのですか? 

藤田さん:はい。モーレンジ(グレンモーレンジ)は、初心者の方々にも馴染み易くどなたにも安心してお出し出来るお酒です。

K:ええ。 

藤田さん:でもですね。グレンモーレンジというお酒は、フレーバーを拾う様になると大変です。とんでもない数になるのですよ。それこそ20以上。ラムズデン博士も仰る様に、例えると万華鏡のようです。 

K:凄い深いですね、お話が。有り難うございます。 

藤田さん:いえ。分かりにくかったら、すみません。 

K:ラフロイグが好きなウイスキーと伺いましたが、ラフロイグの中でも決めていらっしゃるのですか?ラフロイグが全部? 

藤田さん:好きなボトルはいっぱいあります。

K:その中でも今思い付くのはありますか? 

藤田さん:挙げたらきりがないですが。

K:ええ。 

藤田さん:ラフロイグで心に残るものと言えば、サマローリですね。サマローリ67、70(年代)(笑)。ミーハーですみません。 

K:ええ。 

藤田さん:でもサマローリは現実的じゃないですよね、値段も高過ぎるし。

K:ええ。 

藤田さん:オフィシャルの15年も好きですよ。ちょっと前の裏に蒸溜所の絵が描いてある10年とかも好きだし、90年代のラフロイグも美味しいですよね。74や88や93のラフロイグも。 

K:ラフロイグの10年の「裏」というものは、どういうものですか? 

藤田さん:裏蒸溜所のラフロイグは、ご存知ないですか? 

K:思い出しました。私、頂いています。裏蒸溜所の絵より、当時ニッカウヰスキーから出されていたという事の方を強烈に覚えていて。 美味しかったです。

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藤田さん:ラフロイグの70年代は、スモーキーな上にフルーティーじゃないですか、その融合の素晴らしい事!70年代のラフロイグは贅沢ですが大好きです。凄く。80年代になると、少しピーティーになるので。 

K:ええ。 

藤田さん:昔の10年というのは、70年代に蒸溜したものを瓶詰めているので、やはりスモーキー、フルーティー、そしてクリーミー。滑らかなピーチクリームみたいな感じの。

K:はい。 

藤田さん:あれはもう私にとって最高のテイストなので、大好きです。

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K:好きなもののお話をしているふうさん、目が更に輝いてお話されていますね。 

藤田さん:すみません。今味を思い出しました。凄く飲みたい! 

K:分かります。そういうお話をしているとその時の状況だったり、アロマもフレーバーも全部出て来て。今このお話を中断してでも飲みたいなという感じですよね? 

藤田さん:はい、飲みたい(笑)。今目の前にあったら幸せですね。 

K:はい。 

藤田さん:中々ないからね。キャンベルもこの手のボトルはやはり置いたらすぐなくなっちゃうんで。人気なのでね。本当は1本丸ごと飲みたいですね(笑)。 

K:(笑)。ふうさんなら、その1本はどの位で飲めてしまうものですか? 

藤田さん:いざあったら時間掛けますよ(笑)。もったいないじゃない?もったいないから、なめる様にちょっとずつ1カ月くらい掛けて飲むと30日幸せ(笑)。 

K:最後の1滴も。 

藤田さん:そうですね。がぶがぶ飲んでもなくならないんだったら、大胆に飲みますけれど(笑)。 

K:永遠にね。

藤田さん:ね。 

K:有り難うございます。(4へ続く)  (2へ戻る)

 

※次回掲載予定日 6/3(金)

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