単独インタビュー第17弾 「Bar OLD SCOT バーテンダー 渋谷 知美さんを迎えて(2)」
K:Q2 良かった事はございますか?バーテンダーになって気付かれた事に関しては?
渋谷さん:気付いた事、結構気付きの連続というか。作るという事は、1回覚えてしまえば、子供でも出来ちゃう事だと思っているんです。座談会でも誰かが仰っていたみたいに正にそうで、接客ですよね。接客においては、本当に多いかなと思います。バーテンダーはお客様に育てられると言うけれど、本当だなっていう感じで。何かあるかな、何だろうな。私は会話とか得意じゃないので、全然。接客とは、という本を読んだりとか勉強をするのが好きだからそういうところから。後はチーフに相談してみたり、会話にメリハリをつけるというか、オチを言う様になるべく、必ずしています。関西人みたいに、じゃないけど。
K:関西人だったのですか?
渋谷さん:いえ、そうオチは必ず。
K:作って?
渋谷さん:そうです。だらだらという会話をしないようにしたりとか。お店が基本的に広くて忙しいから、あんまりだらだら話せる時間もないんです。だから、端的に印象に残る事をなるべく言う様にという事は、常にして。後は知り合いのお客様に言われたのは、「渋谷さんは常連さんには凄く愛想が良くてちゃんと相手もしているけれど、新規の人には本当に不愛想だからそこをちゃんとしないから下もついて来ないんだよ。」と言われてここ1カ月はずっとカウンターに座る人に必ず声を掛けるという事を実践していて。それまでの私っていうのは最近まで、カップルとかあと男性同士とか2人で来た人には声を掛けなかったんですよね。あえて。
K:あえて、それはあえてでしょう?
渋谷さん:はい。で、2人でしゃべっていればいいからという感じで、って言ったら「そこが駄目だよ。」と言われてしまって。
K:お客様から?
渋谷さん:その人に言われて、それもそうかもしれないなと思って、ちゃんと空気読んでなるべく行くようにしています。なるべく勝率を上げられる様に。
K:(笑)。
渋谷さん:1日の。今日は全員と会話が出来たなとか。最近はそこを楽しんでいますけれど。
K:ええ。凄い。
渋谷さん:苦手な人程最初に行くというか。
K:ええ。
渋谷さん:今日暑かったですね、とか。
K:ええ。
渋谷さん:ネタが一緒でも行こうと思って。今日はパンダの赤ちゃんが死んで残念でしたね、とか。
K:ええ、まあね。
渋谷さん:全員一緒でもやろうと思って。それが自分との戦いというか。
K:凄いですね。
渋谷さん:Kaoriさんばかりじゃないですからね、明るくてちゃんと聞いてくれる人。ちょっとじゃないけれど、皮肉を言って来る人もいるし、ずっと永遠にしゃべっている女性の人もいるし、ちょっとほっといてもいいんじゃないですかという事も言うのですが、チーフに。でもあの人相手にしないと本当にふてくされて恐ろしい事になるから、と言われて。あ、そうなんだと思って。聞くんですけれど、自分の話が永遠に続いていて、端に座っていて私がこちらの方にいてもこっちを見てずっとしゃべっているんですよ。
K:聞いて欲しいのですね。
渋谷さん:どうしたらいいですかね?まだ対策が見出されていなくて。
K:その方は前からのお客様なのですか?
渋谷さん:そうなんですよ。私が入る前から来ていて、
K:こちらのお店のずっとお客様なのですね。
渋谷さん:毎週来るわけではないけれども、何て言うのかな昔話に関してが多いから。この時はこうでさ、みたいな。
K:ええ、チーフの方の方がお付き合いが長いのですか。
渋谷さん:そうなんです。
K:中々お話はね、
渋谷さん:そうですね、接客は難しいなと思って。
K:私もずっとお客様のお仕事をさせて頂いているので、年数だけで言うと何十年なのですが、アルバイト時代から入れたらもっとです。
渋谷さん:あ、凄い。
K:でも、それは「これだけ年数をしていました。」、というだけで経歴にはなるかもしれないけれど、結局は中身だったりもしますし。
渋谷さん:そうですね。
K:だから、していました、と言うのと、お客様に対してイコールというのは難しい。
渋谷さん:そう、Kaoriさんの凄いと思う所は、こういう仕事をしていて良かったと思う事の1つにKaoriさんみたいな人と知り合えたという事。
K:あ、有り難うございます。
渋谷さん:試飲会とかでたまに見かける人だったのに、こう知って会話が出来るようになって凄い事だなと。で、結構綺麗なのに、司会が出来るじゃないですか?それが凄いんですよ。
K:司会が出来る?
渋谷さん:何て言うのかな、私は結構自分の話を永遠としてしまう時があるんです。
K:ええ。
渋谷さん:お客様に振らなくちゃいけない時でも、そのタイミングとかも中々掴めなかったりとかして。
K:聞くのが上手、得意な人は得意と言うのも変ですけれど、後、お話しして盛り上げるというね、お客様とのフィーリングがあるから、どこでどうでと言うのは難しいし、お互いに人ですから。良い事がなければ、いつもと違う態度で接してしまうかもしれないし、いつもだったら穏やかなのだけれど、どうしても我慢出来ない事があったら…。
渋谷さん:でも分かる。
K:ほら、女性ならホルモンのバランスがあったりしてね。どうしてもイライラしてしまったり。その時はいつもとは違う、仕方がないわけではないけれど、どうしてもね。
渋谷さん:しょうがない時もありますよね。付き合って行くしかないですからね。
K:でも気付き、というところでは、接客という事では、ずーっとテーマで。私も本を読んだりする事が大好きですが、これが正しいのだ、これで合っているのだ、と思ってしまったら、多分。
渋谷さん:そうそう。
K:終わりというのか。
渋谷さん:そうそう。そうですね。以前読んだ本に常に笑顔で、と書いてあって、 相槌を打っていたら友人が死んだという話をしていた事があって。
K:え?
渋谷さん:で、途中で気付いて、すぐに表情を変えて、眉をすぼめてみてそういう顔をしたんですけれど。
K:ただ聞いていただけで、内容は聞いていなくて?それが本に書いてあったのですか?
渋谷さん:ええ。笑顔の勧めみたいなものを見て、鏡の前で練習をして、割り箸を挟んで練習したりして。実践しようと思っていたら運悪く。
K:え?渋谷さんが?実際のお話?
渋谷さん:昔の話です。その方がお坊さんだったのですよね。それで常に笑顔で話をされる人だったので、大人だったから別に対して気にしていなかったと思うのですけれど。
K:ええ、途中で気付いて?
渋谷さん:ええ。急いで、えーみたいな感じで。ちょっと反応が遅い感じで。
K:その時お客様は何とも仰らなかったのですか?
渋谷さん:はい。
K:お客様は普通の流れで会話をしていて、(表情に)気付かなかったのかしらね。
渋谷さん:気付かなかったのだと思います。普段表情が薄いんで、ま、気にも留めてないんでしょうね。
K:でももしかしたら、そこが良かったのかもしれませんね。凄く表情を出し過ぎていたら、え?という事になると思いますけれど...。
渋谷さん:笑っていたらちょっと。
K:ね。
渋谷さん:とんでもないですよね。
K:確かに。そういうところが難しいけれど、いかに寄り添うか、という事ですよね。
渋谷さん:確かに、そうですね。(1へ戻る)
※次回掲載予定日 9/21(金)
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