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単独インタビュー第18弾「THE MASH TUN  TOKYO 鈴木 徹氏を迎えて(5)」

8 3月 2013 3,813 views No Comment

鈴木さん:僕がよくやるのが、口開けして、うーん、これは今出してお勧めするコンディションではないな、と思うと、ごめんなさい、と言ってしまっちゃうことも多いんで、結果的に1年放置しちゃうとか2年放置しちゃうとかというのがいっぱいあるんですよ。

K:1年、2年と言うのは、パラフィルムを巻いて?

鈴木さん:巻いていないですよ、うちなんかは。

K:確かにマッシュさんの所は、巻いているイメージがないですけれど。

鈴木さん:はい。

K:逆にいつもパラフィルムを巻かないで、放置ですか?

鈴木さん:他にスタッフが常時いて、空いている時間がたくさんあるんだったら、やらせるかもしれないですけれど、前の店の時はスタッフたくさんいたんでやらせていましたけれど。

K:ええ。

鈴木さん:実は個人的にはパラフィルム使う事にはそこまでの重要性は感じていないんです。ただ口開けていないものを密閉する為には、やった方が良いと思いますよ。

K:分かりました。

鈴木さん:在庫とかコレクションとかは、知らない内に、もし何百本も持っていたら、もし段ボールにとか入っていたら、目に見えないじゃないですか。気が付かないうちに揮発してどんどん中身が減ってしまっていることなんかもある訳なんですよね。だからしまっておくときにパラフィルムで密閉しておけばその危険性はかなり減るはずですからね。

K:分かりました。

鈴木さん:うっかりしている内にね、いつか箱から出したら、液面がショルダーまでになっていたら凄まじく残念じゃないですか。

K:ええ。

鈴木さん:パラフィルムを巻いておけば、それはかなり防げますよ、きっと。既に1回開けているものも巻くのも勿論して悪い事はないですよ。ただ、ま、何て言うんでしょうかね、例えばあるボトルが半分減っていたとして、半分減っていたら、ボトルの半分は空気が入っているわけですよね。

K:確かに、ええ。

鈴木さん:それを一生懸命「密封するんです」って言っても、「既に半分は空気が入っているじゃんねー」という、合理的かつ勝手な考え方ですけれどね。開けてないのは巻いた方が良いなと思いますけど、開けて減っているものは巻いてもね、と自己判断しています。すでに空気入っているんで、ボトル半分切ったら、飲むなり、早くオススメして売るなりした方が良いんじゃないのと。もちろん個体差あるんで、コンディション見ながらになりますが、僕の場合は。もちろん窒素ガスを毎回入れて密封とかするマメな方だったら話が違うんですけどね(笑)。

 K:たまに聞く瓶熟というものはあると考えて良いのでしょうか?

鈴木さん:熟成という言葉を下手に使うと醸造学の先生に怒られるので変化だと、瓶内変化と言った方が良いかもしれないですね。

K:瓶内変化。

鈴木さん:それが1番合っているかもしれませんね。

K:確かに。

鈴木さん:瓶の中でも変化はしていますよ。それは樽の中でも変化はしているわけでしょう。

K:はい。

鈴木さん:瓶の中でも同じ様に変化はしていてただ何が違うのかというと、樽の中では、樽由来の樽の成分が徐々に染み出してくるし、ちょっとずつ揮発する事によって凝縮されて行くし、外気が触れているわけですから、その環境によっては環境の香りも吸っているだろうし...だからそういう意味での変化はします。ボトルに入ってしまうと樽じゃないですから、樽の変化はしない、樽香が強くなる事はない。一応密閉されていますから。外の環境による香りを吸いこむ事もほぼないはずだし、そんなに大きな変化はないはずですけれど、逆にその瓶のガラスとかね、容器の材質、キャップなどから来る匂いとかそういうものがついちゃう事も有りますよね。コルクとかは影響大きいですね。そういうとネガティブの方に行っちゃうけれど。また、ブラウンとかグリーンとかボトルの色によってもなんとなくフレーバーが違う気がするんですが、実際のところ根拠ありません。 あとは分子レベルでの変化もするのですが、実のところこれも結構大きいようです。
お偉い先生が研究した結果がネット上なんかにアップされているので見た事がある方も多くおられると思います。これは樽内でも瓶内でも同じように変化するようです。興味のある方は検索してみるといいですよ。

 

 

 

 

 

 

 

K:例えば、批判的な意味ではないのですが、ソサエティのボトルはグリーンだと思うのですが、

鈴木さん:グリーンですね。

K:色のイメージとしては、その色で宜しいのでしょうか?

鈴木さん:そう、ただね、ソサエティのグリーンのボトルは、経験上あんまりその匂いがしない。

 K:そうなのですか。

鈴木さん:しないと思いますね。そのボトルのメーカーによって違うのかもしれませんね。

K:そう考えるとソサエティボトルは考えられているのでしょうかね。もしかしたら。

鈴木さん:たまたまじゃないですか(笑)。

K:(笑)。改めて考えるとソサエティボトルを見た時に衝撃を覚えた事を、今伺って思い出しました。

鈴木さん:新しいデザインにしてから、色濃くなりましたでしょう?昔は、グリーンだったのが、今は透けて見えない様になっていますね。

K:そうですね。

鈴木さん:あそこまで濃くなると遮光性は高いんじゃないですかね。

K:そういう意味で?

鈴木さん:あれぐらい濃くなるとね。だけど紫外線は通すでしょうね。

K:ええ。

鈴木さん:完全UVカットにしようとすると詳しい事は分からないんですけれど、ワインでは良くあるんですけれど、金属の粉を混ぜ込んで紫外線を防御するボトルってあるんですよ。そういう粉末が入っているので強度が良くないので肉厚になっちゃうんですよ。

K:ええ。

鈴木さん:無駄にデカイ、重いボトルなんですよ。リッター瓶かなと思ったら700とか750とか書いてあって、カリフォルニアのワインに多いんですけれど。流石にそういう瓶を使っているウイスキー業者はないんで、効果はそこまでではないんだと思いますけれど。透けて見えるよりは透けて見えない方が遮光性が高いだろうな、程度の話なんですが、ホントの効果ってよく分かりません。(6へ続く)  (4へ戻る)

 

※次回掲載予定日 3/15(金)

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