単独インタビュー第6弾 ロングインタビュー 「ウィスク・イー ソサエティ・スペシャリスト兼アドバイザー 元木 陽一さんを迎えて(最終章)」
KQ9:私が定番にしている質問です。私はBarとウイスキーについて感動した出来事がありますが、元木さんは何かございますか?シチュエーションでも何でも良いのですが。
元木さん:Barの感動はいっぱいある、難しい質問ですね。何だろう(考え込む元木さん)Barだとお客様が色々な出来事を報告しに来てくれるじゃないですか。
K:ええ。
元木さん:例えば、「今、好きな女の子がいて、アタックして来ます!」と言ってお店を後にして、後日「この前女の子に声を掛けてどうだったの?」と話が続いてその後、結婚まで行ったら嬉しいですよね。Barの世界、お酒の世界に携わっているとやっぱり何かの節目節目でお酒を飲むわけじゃないですか。
K:そうですね。
元木さん:結婚を決め、その報告をしに来てくれる。結婚を決めた人を連れて来てくれる。
K:いいですね。
元木さん:又、残念ながら逆に別れたなんて報告をしに来てくれる人もいるし。懺悔するお客様もいたり。
K:確かにそうですね。
元木さん:シャンパン開けようか、とか。飛び切り旨いマンハッタン作ってくれとか。マンガのレモンハートと同じですよ。
K:ええ。
元木さん:そういう意味だと。
K:そうですね。
元木さん:ただおしゃべりしたくて、来る人もいるし、なんか報告したくて来るんですよ。あれどうなったの?とか。
K:ええ。
元木さん:でもそういう場所ですよ。初めてスコットランドへ行った時、泊まったダフタウンの小さなB&B(ベッド&ブレックファースト)があって、そこはとても印象に残っています。「俺って、今スコットランドにいるんだな」と。そこは「ファイフアーム」という名前です。ダフタウンの中央にある時計台の至近にあるので、宿泊された事があるウイスキーファンも少なくないと思います。それと、もう1つスコットランドアベラワーにある「マッシュタン」というパブに行きました。まだ店内工事中で、もうちょっとで開店する予定だなんて言って中に入れさせてもらって、ビールを飲みながらそこの店主のネルさんとお話させていたのも思い出に残っております。そこを見て、その時鈴木さん(THE MASH TUNオーナー)が、マッシュタンという名前を付けようと思ったんじゃないかなと。
K:ええ。
元木さん:新しくスペイサイドウェイというお店が開店した時、スペイサイドウェイを歩いてみたかった。そのマッシュタンのすぐ近く。スペイサイドウェイを歩いた時、マッシュタンに寄って、スペイサイドウェイを歩いて、感動しましたね。「スペイ川だ」って。
K:ええ。
元木さん:スコットランドだと結構いいパブがたくさんあるけど、その中でもとりわけ好きなパブですね。でも現在は店主が変わってしまったのが残念ではあります。
K:ええ。そうでしたか。有り難うございます。
そして最後です。Q:10:ウイスキーを愛する方々に是非一言お願い致します。
元木さん:難しいですね。ウイスキーを飲んでいる人、凄く飲み慣れている人が、飲み手1人1人の好みが違うというのを認識して飲んで頂けると嬉しいですね。
K:はい。
元木さん:よくあるんですけれど、「そんなの美味しいって言っちゃうの?」という空気を作って欲しくないなと。
K:そうですね。
元木さん:それがその個性が面白いからモルトウイスキーが成り立つと思っていて、認めてあげられる許容が欲しい。許容が深いというか、広い気持ちで飲んでもらえたらいいなと思います。
K:ええ。
元木さん:テイスティング会で、例えば「ゴム臭い」とか「パフュームが出ている」とからダメなんて言う方もいらっしゃいますが、そういうのも美味しいと思う方もいるかもしれないじゃないですか。
K:そうですね。
元木さん:そういう空気を絶対作ってもらいたくないですね。パフューミーが好きな方もいっぱいいますからね。それはそれじゃないですか。個性を愉しむものなのに、人の好みを否定する飲み方をする人は、あまり褒められたものではないですね。
K:そうですね。確かにそうですね。
元木さん:広い意味で、様々な個性を認めていける様なモルト愛好家の方が増えてくれるといいなと思います。
K:以前はなかったのですか?
元木さん:少なかったわけじゃないですけれど、飲む方が増えただけ。だから、そういう方も増えている。私も凄く気を付けているし。でも内輪で飲んでいる時は、自分の好みがあるから「これ好きじゃないな」と言っちゃう時はあるけれど、テイスティング会の場所ではどれも面白いね、という気持ちがないと。否定しながら飲んでも面白くないですよ。
K:そうですね。
元木さん:粗探しして、粗探しする方が多いですよね。
K:「これは...」と考えて、
元木さん:「イマイチだな」と言う人。
K:何をその方が1番だと考えているのか分かりませんけれどね。色々と召し上がっている方もいるでしょうけれどね。
元木さん:許容が広い方が愉しめますよね。
K:そうですね。私がウイスキーを面白いと思ったのは、美味しいなと思う種類が多いと思ったのですよね。そう思ったのです。全部が好みかと言われたら、まだ難しい話ですけれど、凄く幅が広いなと思って。まだ不得意な物もありますけれど、これだったら、モルトだったら私全部大丈夫だなと思ったのですよ。凄く良いなと思ったのですよね。
元木さん:でも良い飲み手も増えていますよ。そういう人たちが周りに良い空気を与えてくれたら。そんな風に意識しています。そうじゃないとただ嫌なだけ、知ったかぶりの人だけになったらつまんないですよ。
K:そうですね。そういうお話をしたい方は、そういう方達だけで集まって何処かで語り合う。
元木さん:深く語り合うのは良いですけれど、けなし合うのは…(笑)止めて欲しい。
K:(笑)
元木さん:一生懸命作っているのですから。
K:そうですよね。
元木さん:美味しくなるように思って作っているわけですから、たまたま口に合わなかっただけで、けちょんけちょんに言わないで欲しいな。
K:これはいいか悪いか分かりませんが、以前ある方から「ウイスキーは全部飲み切りなさい」と教えて頂きました。無理する必要はないかもしれませんけれど、ウイスキーは残したくないなと思います。何でもそうですよね、お食事でもそうですけれど、残したくないなと思います。なので、飲めないなら頼む必要はないなと思いますし、本当に難しい時は「ごめんなさい」と言う気持ちでいたい。なるべく飲める範囲で、頂ける範囲で頼みたいなと思います。人の手が加わっているものは特に。
元木さん:そうですね。有り難いものですよ。ましてはウイスキーを飲める環境にあるという事は。今、派遣切りが多い中、ウイスキーを飲める生活が出来るのは有り難い事だと思います。
K:凄い事だと本当にそう思いますよ。
元木さん:感謝しながら飲んでもらえたらいいと思いますよ。世界中の人口の中でもウイスキーを飲める人は本当に一部ですよ。そこに今いると。生活がきついと言っても、ウイスキーを一杯位は飲めるんですよ。
K:そうですね。恵まれている環境にあると思いたいですね。思ってはいるけれど、きちんと理解していきたいですね。
今回はお時間を頂きまして、本当に有り難うございました。
元木さん:いえ、こちらこそ有り難うございました。
Kaoriの総論
元木さんは、私がウイスキーに興味を持ち始めた頃から存知上げる方でございます。、「ウイスキーは難しく飲まなくて良い」。最初にお会いした際、元木さんが仰ったこちらの一言を私は今でも覚えております。銀座のバーテンダーを経て蒸溜所で実際働かれ、今はソサエティ・スペシャリスト兼アドバイザーとして活躍されていらっしゃいます。元木さんとお話をさせて頂きますと本当にお好きな事をしていらっしゃると感じます。又ウィスク・イーとして、チャリティーに力を入れていらっしゃるという事は、とても素晴らしい事だと思います。私達はウイスキーという贅沢品を頂ける環境にある、私も自分の環境をもう1度見直す良い機会になりました。
※取材協力
バーハイソサエティ http://www.parkhoteltokyo.com/japanese/restaurantsbar/restaurants02/index.html
ウィスク・イー http://www.whisk-e.co.jp/
nikko81です。
元木さんのウイスキーを愛する方々へのメッセージ、
とてもすばらしいなと思いながら、読ませていただきました。
ウイスキーのひとつの特徴は、実に多様で複雑な香りと
味わいがあるということだと思います。
ひとつひとつの香りがすばらしいとか、
合わなかったということもあるかもしれませんが、
そのような多様性があること、それ自体が
すばらしいことなのだと思います。
人もウイスキーも、個性を認め、
その多様性を尊べるようにありたいものです。
nikko81様
コメント有難うございます。
nikko81さんの「人もウイスキーも、個性を認め、その多様性を尊べるようにありたいものです。」と仰る通り、私もそうだと思っております。
私がいつも考えております事は、まずは何でも1度は受け入れる、そして考える。もしかしたらその中で合わないという事もあるかもしれませんが、まずは受け入れる事だと思っております。
実は最近、もしかしたら得意ではないかもしれない、とずっと思っておりましたウイスキーに興味を持ち始めました。こちらの様な事もございますから、1度で決めてしまわない事ですよね。
元木さんを始めインタビューさせて頂いている方の一言一言が、こちらをご覧になって頂いている方に少しでも何かを感じて頂けたら私としてもとても嬉しく思います。
今後共どうぞ宜しくお願い致します。
初めまして。。。かどうか。。。
ウイスキーワールドの記事とても楽しかったです。
ウチの連れも24ですが、結構な飲み手です。
もし機会があればイベントに誘っていただきたいなと思います。
今後ともムーブメントを盛り上げていただきたく、楽しみにしています。
タケモト カツヒコ様
コメント有難うございます。
初めまして、ではないと思います。以前開かれましたイベントに参加させて頂いております。日頃からのタケモトさんのご活躍は存知上げております。
そしてウイスキーワールドをご覧頂きまして、誠に有難うございました。
どちらかのタイミングで皆様にお知らせしたいと考えておりますが、実は女性だけのウイスキー会を毎月開催しております。
奥様からご連絡を頂ければお誘いしたいと考えておりますので、是非宜しくお願い致します♪
今後共どうぞ宜しくお願い致します。
はじめまして、禅と言います。THE WHISKY WORLD をみて、このページを見つけました。
今は、ウィスキーにどっぷり、はまっています。好みも、歳を重ねるごとに、変わってきますし、同じお酒でも変化していくのが、楽しいですね。
愛知県で、日本料理 一期一会・禅と言うお店をやっていますが、残念ながらこの辺りでは余りウィスキーを好む人が少なく、女性がウィスキーを飲むことはないですね。
だから、今回凄く嬉しかったです。
これからも、色々と教えて下さいね。
禅様
はじめまして、禅さん。
コメント有難うございます。
早速お店のホームページを拝見させて頂きました。
とても素敵なお店でございますね。
そしてウィスキー一覧も拝見致しました。お好きな事が伝わって参ります。
禅さんのお住まいの周りの女性の方は、召し上がる方が少ないのですか...。
少し寂しいですね。
私の周りは増えて来ております。
実は昨日もウイスキーがお好きな素敵な女性とお会いしまして、私が開催しております女性限定自由参加型イベント(掲載するタイミングを逃しておりますが)に参加して頂ける様でございます。
少しでも輪が広がって皆さんが、そして私も楽しめる会にしたいと思っております。
まだまだ書き足りない事も多いのですが、こちらのサイトをご覧になって楽しんで頂けたら大変嬉しく思います。今後共どうぞ宜しくお願い致します。
私は良く旅行に出かける際に、ボウモア蒸留所で購入したスキットルに
モルトを詰めて持ち歩きますが、旅好きとBar巡り好きは似ています。
「好き」は理由ですが、本質は「人生を楽しむため」です。
どうか今宵も佳きお酒を。
++ My Web Site ++ 全国バー巡り Bar☆Compass –
http://www.h3.dion.ne.jp/~bar_com/
始めまして。
WW拝見しました。私の周囲でも女性たちの方が
ウイスキー、モルトに対してアクティブでして・・・
お、元木さん、イイこと言ってくれてますねぇ。
昨夜は思い切りパフューミーな3.155を狙って行きました。
ではでは
ふる様
はじめまして、ふるさん。
コメント有難うございます。
「人生を楽しむため」素敵なお言葉でございますね。
私も心から人生を楽しむ為に過ごして参りたいと思います。
まだまだ足りない部分も多いかと思いますが、今後共どうぞ宜しくお願い致します。
hiko様
はじめまして、hikoさん。
コメント有難うございます。
ウイスキーワールドをご覧になって頂きまして、有難うございます。
有り難い事に最近お声を掛けて頂く事が多いです。
私もウイスキーをお好きな女性はアクティブだと思います。そして更に増えていると思っております。ですが、その様な集まりの場が中々ない事が事実でございます。
ですので、他の方へのコメントにも書かせて頂きましたが女性の会を開いております。
ですがこの様な事等が出来ますのは、元々ウイスキーをお好きな方、又関係者の方々、そしてBarで働いていらっしゃる方等の受け入れ、ご協力、ご理解があるから出来る事だと実感しております。
元木さんが仰っている「広い意味で、様々な個性を認めていける様なモルト愛好家の方が増えてくれるといいなと思います。」の様に、様々な個性を認めていける、そしてお互いを認め合える、その様な事を思いながら皆さんで楽しめたらと思っておりますので、今後共どうぞ宜しくお願い致します。
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