単独インタビュー第20弾 新年企画「Shot Bar Zoetrope オーナー堀上 敦氏を迎えて(5)」
K:勿論、自信を持ってお作りになっている事は重々承知の上ですが、出してみようというきっかけというのでしょうか、なければ、
堀上さん:何がきっかけで出品されたのかは、私には分かりません。けれども、そこからコンスタントに、「響」と「竹鶴」が賞取り続けていきました。今はもうない商品ですけどメルシャンの「マスターズ・ブレンド」も賞を取っていますし、勿論伊知郎さんもWhisky MagazineやWebのMalt Maniacsとかで高い評価を獲得していった。サントリーさんやニッカさんを本流にしつつ、伊知郎さんやメルシャン、マルスなど、その周りで盛り上げて行ったと思います。
K:ええ。昔からのファンの方であれば、知っていたよ、もう美味しいのは、分かっていたよ、というところですよね。
堀上さん:まあ、そうですよね。
K:有り難うございます。そして次なのですが、
Q5、Barにいらっしゃる方は、外国の方も多いと伺っております。思い出されるのみで構わないのですが、何カ国の方がいらっしゃったのでしょうか?
堀上さん:何カ国ですか?それは難しいですね。
K:外国の方がいらっしゃるというBarは勿論あると思うのですが、ゾートロープさんは、本当に沢山の方がいらっしゃっていますよね。
堀上さん:そうですね。勿論ヨーロッパの方は多いですね。イギリス、フランス、スウェーデン、ドイツは結構いらっしゃいますね。あと、それほど多くはないですけど、北欧はデンマーク、ノルウェーの方も時々いらっしゃいますね。南欧だとイタリア、スペインの方がいらした事はありますけど、ポルトガルは聞いた事がないかもしれないですかね。ポルトガル、ギリシャは聞いた事がない気がしますね。
K:ええ。
堀上さん:ロシアは少しいらっしゃいましたね。アメリカ、カナダは勿論かなりいらっしゃいます。オーストラリア、ニュージーランドの方も多いですね。南米からの方はそんなに多くはないですけど、ここのところ2組くらいベネズエラの方も来ましたね。
K:ベネズエラですか。
堀上さん:別々の方ですけど、その方にパンぺロ置いていますよ、と言ったら嬉しそうに、それは良いラム置いてあるね。でも俺、ウイスキーの方が好きなんだって言っていましたけれどね(笑)。
K:(笑)。
堀上さん:後は、ブラジルとアルゼンチンの人は来たかな。
K:凄いですよね。それは、おひとりでいらっしゃるのですか?お仲間たちといらっしゃるのですか?
堀上さん:いや、色々です、本当に。おひとりの方もいれば、2人の方もいるし、4~5人で来る方もいるし。
K:それは、観光ですか?こちらにお住みになっていらっしゃる方もいらっしゃるのでしょうか?
堀上さん:いや、うちは、観光かビジネスかは分かりませんが、短期滞在の方がほとんどです。日本に住んでいる方はあんまりいないですね。少しはいらっしゃいますけど、あまり多くはないですね。
K:日本に来たら、又来るよ、という感じで?
堀上さん:2年前に来たんだ、3年前に来たんだと言う人はいますけどね。アジアの方はシンガポール、香港、台湾の方が多いですね。その3か所からが多くて、後はマレーシア、インドネシア、ベトナムの人もいましたし、フィリピン、インド、タイの人もいましたし…。
K:今途中で数える事をやめてしまいましたが((笑))、20カ国どころではないですよね。
堀上さん:そうですね。本当に色んな国からいらっしゃいますね。
K:その時の会話は?
堀上さん:基本は、私の適当なブロークンイングリッシュで(笑)。
K:お支払いですが、その度その度に払われる方もいらっしゃいますか?
堀上さん:それはお断りしています。
K:他のBarに伺った時に外国の方がいらっしゃって、1杯ごとに支払われようとして、うちは違うよ、と仰っていた状況を見た事があるので。
堀上さん:そういう方はいらっしゃいますよ。1杯注文されてそのまま払おうとして、うちはそうじゃないから、最後にまとめてチェックしますからってお伝えすることはありますよね。
K:外国の方はパブのイメージでいらっしゃるのでしょうか?
堀上さん:そうかもしれませんね。後はお金の払い方が日本人と感覚が違う人が多いですよね。日本だとBarや居酒屋さんでお勘定の際、何人かでいたらまとめて払って適当に何等分ね、とか、俺いくら出しておくから後は宜しく、とか。
K:ええ。
堀上さん:凄く大雑把な割り方するじゃないですか。お前は大して飲んでないから、ちょっと安くていいよ、とか、女の子だからいくらでいいよ、とか。
K:ありますね、それは。
堀上さん:でも向こうの方は、俺が飲んだビールはいくらだ、俺の飲んだこのウイスキーはいくら?それはいくらなのとかって、個別にいくら飲んだかをお勘定で分けることが多いですね。
K:という事は、お会計の時に時間が掛かる、のですね、言い方は変ですが、
堀上さん:そういうところはありますね。こうした支払い方は、特にアメリカの方に多いと思いますよ。
K:以前その様な光景を見たので。有り難うございます。そちらに伴ってなのですが、外国の方にどのウイスキーが人気でしょうか?
堀上さん:うーん。うちで外国の方に人気があるのは、「ニッカvsサントリー テイスティングセット」という、山崎12年、白州12年、サントリー知多グレーン、余市12年、宮城峡12年、ニッカカフェグレーンの6種類テイスティングですね。凄く人気があります。要は外国のお客様の場合、大雑把に2つのグループに分けられるんです。全く日本のものを飲んだ事がないんだけど、折角日本に来たんだから、評判を耳にする日本のウイスキーを飲んでみたいんだよという、普段はスコッチ飲みのお客様。こうした方は、ザックリとスタンダードを飲み比べられる「ニッカvsサントリー テイスティングセット」を頼む人が凄く多いんですよ。
K:ええ。
堀上さん:もうその辺は知っていて…と言うより、よりマニア度が高くなっている人は、指名で「軽井沢」とか「秩父」とか「羽生」とか言って来る人が結構いますね。サントリーさんが凄いなぁ、と思うのは、大抵の場合「山崎」は飲んだ事があると仰ってることです。
K:ええ。
堀上さん:世界中の人が、「山崎は飲んだことあるから、他のも飲んでみたい」って仰る。
K:ええ、凄いですね。
堀上さん:後、ニッカさんも今年から(インタビュー時2013年)台湾やアメリカ輸出が始まったので、今後は変わって行くんだろうと思いますけど、今までは輸出されていなかったので、アメリカの方はニッカを飲んだ事がない人が多いですね。ヨーロッパの方は、「余市」飲んだことがあるとか、ニッカ知っているとか仰る方も多いですけど。
K:ええ。
堀上さん:最近は、「フロム・ザ・バレル」が好きって言う人も結構多いですし、
K:しかもあちらの金額で…味しいですよね。
堀上さん:「フロム・ザ・バレル」は、本当にヨーロッパで飲まれているみたいですからね。ニッカの営業さんが、日本国内出荷よりヨーロッパ出荷の方が多いって言っていましたから。
K:凄いですね。私第3代マスターブレンダー佐藤さんのサイン入りボトルを持っているので、開けられませんもの。
堀上さん:(笑)。
K:絶対開けられないです。あちらは、ラベルの色が2色ありますよね。シールの色が違うのですよね。私は新しい方でサインを頂いているのですよね。ですから、以前のものでサインを頂いておけば良かったかな、とボトルを見ながら先日思っていたのですよね。
堀上さん:(笑)。
K:マニアックですが((笑))。今ですと、山崎とテイスティングセットが出ていて、山崎は飲んだ事がある方が多いから違うものが良いと?
堀上さん:はい、そうですね。
K:後、又、印象に残るエピソードもありますか?ウイスキーにかかわらず、海外の方々とのやり取りの中で今、思い出されるエピソード等。
堀上さん:何ですかね。
K:笑っちゃった、等でも構いませんし。
堀上さん:エピソードは本当に色々ありますけど…そうですね、うちでオリジナルで出している明石のプライベート・ボトルがあるんですよ。
K:はい。
堀上さん:この「ゾートロープ4周年記念 明石」がですね、今迄飲んだモルトと物凄く違うものだと仰る方が多いんですよ。特にマニアックな方が。確かカナダ在住のロシア人のお客様だったと思うんですが、「何か飲んだことのないようなモルトを一杯」と注文されたんです。それでその「明石」をお出した時に、凄く気に入って頂いたようなんですね。外国のお客様だと、テイスティング・ノートを付ける方が割といらっしゃるんですが、その方もノートに黙々と書き始めたんです。それがいつまで経っても書き続けている。「そんなに書く事あります?」ってお聞きしたら、「こんなに書いてまだ終わらない」って1ページびっしり書いてあるのを見せられて(笑)。何語で書かれているか、ロシアの人ですし、よく分からなかったですけれど、「これは凄い、本当に飲んだ事がない、訳が分からない」、とか言いながら。
K:ええ。
堀上さん:そうしたら又次の日いらして、昨日と同じものを、と言われて(笑)。そんなに気に入ったのか、と。
K:1ページ書くのは、大変ですよね。
堀上さん:書いても書いても終わらないよ、と言いながら。普通そんなに書かないだろう、と思いながら(笑)。
K:もう感激された、という感じですね。
堀上さん:今迄飲んだ事がない!これは何とかの味もする、何とかの香りもするってずっと仰ってて、それを聞いて「凄いな~、俺そんなに語れないわ」って(笑)。
K:でも嬉しいですよね。書かれる方は、本当に書かれますものね。
堀上さん:自分がボトリングしてもらった商品を、こんなに語りまくり、ノートを付けまくる人がいるのは非常に嬉しく、そして面白いな、と思いましたね。ま、他にも色々と有りますよね。色々な事があって、日々面白いですよ(笑)。(6へ続く) (4へ戻る)
※次回掲載予定日 4/24(木)
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