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単独インタビュー第4弾 ロングインタビュー「スコッチ文化研究所代表 土屋 守さんを迎えて(1)」

29 1月 2010 2,017 views No Comment

「「スコッチ文化研究所」にて 2010年1月某日 時刻 初雪が降り終わった頃」

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今回はスコッチ文化研究所代表、そして「世界のウイスキーライター5人」にも選ばれていらっしゃる土屋 守さんにお話を伺いたいと思います。

 Kaori(以下K):この様な形でお会いすると何だか照れてしまうのですが...。

土屋さん:こちらもそうだよ(笑)。

 K:この度は大変貴重なお時間を頂きまして、誠に有り難うございます。どうぞ宜しくお願い致します。それでは始めさせて頂きます。

 

 

KQ1:今回「シングルモルトウイスキー大全」を発行するにあたっての経緯を、簡単にとは難しいかと思いますが教えて頂けますでしょうか?

 

土屋さん:元々「モルトウイスキー大全」というものが最初だったでしょ?それが出たのが、1995年12月で、その経緯というのは僕が5年間イギリスにいる時にシングルモルトに出合って、イギリスにいる時に新潮社の「とんぼの本」というのがあるんだけれど、そこから頼まれて「シングルモルトについて本を書いて欲しい」と言われて、それが1992年に「スコッチ・モルト・ウイスキー」が新潮社から出たんですよ。今は絶版になっているから古本屋でしか手に入らないと思うんだけれど。これを書いた時に共著だったんだけれど、「いつかやっぱりシングルモルト全ての蒸溜所を網羅した本を書いてみたい」という思いがあって、全ての蒸溜所を回る作業を続けてたんだよね。1993年1月に日本に帰って来て、縁があって次の年の1994年から赤坂の「ホワイエ」というBarで、月に1回「土屋 守のシングルモルトの会」というのをやっててさ。

 K:はい。

 

 土屋さん:それをやり始める時にテキストがないから、それで各蒸溜所について原稿用紙で3~4枚ずつの原稿を書いてそれをコピーして、モルトの会の参加者に資料として渡していたんだよね。それが1年半位掛けてほぼ全蒸溜所をやった時に、1回につき6~8種類やるんだけれど、それの溜まった資料が1冊の本にならないかという事で「是非出版させて欲しい」と言ったのが小学館だったんだよね。これが1994年だったかな。

それで1冊の本にする時にどういうスタイルの本が1番良いのかなと考えて、今の「モルトウイスキー大全」のあのスタイルが1見開き(2ページ)で、1つの蒸溜所を取り上げて、その蒸溜所のいわれ、歴史を書きながら、蒸溜所の写真を載せて更に今は当たり前になったけれど、昔あれを出した時にはあのボトルの大きさ、それぞれの蒸溜所につき必ずボトルを1本載せるというスタイルというのが斬新で、それまでシングルモルトをそういう形で見せる本がなかったし、という事で1995年の12月に出した時に予想に反して、予想よりも売れた。次に考えたというか、シングルモルトの本を出したんだから、もう1つブレンデッドウイスキーを出さないといけないかなというのがあって、その直後位から「次はブレンデッドでやるよ」と小学館と話してた。

ただシングルモルトと違ってブレンデッドをやり始めたら、結構大変な作業で、現場を訪れれば良いという事ではないから、どういうブランドを選んで、それをどうするかという事もあって資料集めに苦労をして、結局1年遅れて1998年に「ブレンデッドスコッチ大全」というのが出て、「モルトウイスキー大全」「ブレンデッドスコッチ大全」と2冊出したんだからこの辺で良いかなと思ったんだよね。

そもそも大全という名を付けたのは、実は元々「釣魚大全」という本があってね、これは元々イギリスで出版された‘釣り師のバイブル’と言われている本で、俺はこの本の翻訳をやりたかったわけだよ。

 K:ええ、ええ。

 

 土屋さん:これの翻訳をやりたくて、出版社にその話をしていたんだけど、既に角川で翻訳が出ていて、更に別の翻訳本が出たりして、自分で新しく翻訳して出すという事が俺なりに自信はあったんだけれど、全くの新訳としてイギリスに5年間いたわけだから、最新のデータを元に現場を訪れながら「釣魚大全紀行」を書きたいなと思ったんだけれど、その前にウイスキーの話が来たので、出すならば「大全」という言葉を使おう、と。

 K:ええ、はい。

 

土屋さん:多分「モルトウイスキー大全」の前に「大全」という言葉を使ったという本としては「釣魚大全」しかなかったんじゃないかと思うんだよね。それは釣り師の間でしか知られていなかった本だから、その頃で一般的な本で「大全」という言葉を使ったのは、「モルトウイスキー大全」が初めてだったかもしれないね。

今はあちこち色んな所で色んな形で大全とタイトルを付けている本が出ているけれどさ、その走りになったかもしれないね。でも元々は、「釣魚大全」が俺の頭の中にあって「大全」という言葉を使ったんだよね。

 K:そうなのですね。

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 土屋さん:で、今回でしょ?この「モルトウイスキー大全」は1995年に出て、その後2002年に改訂版を出した。その間約7年間、本当言うと、5年位で当初出す予定でいたんだけど、丁度色んな事が重なってさ、1番大きいのはスコッチ文化研究所を立ち上げた事で1~2年遅れてしまって、2002年に改訂版を出して、「これを出したんで暫くいいかな」と思っていたら、ところが改訂版を出してから、今回出すまでの間にものすごく変化が起きたわけなんだよね。

それは僕の予想をはるかに上回る様な変化が起きて、世界的にもシングルモルトがすごい人気になって、日本でももはやシングルモルトが定着し、一方でウイスキー自体もすごく又再び勢いが出始めて、世界中の新興国が台頭するに従ってウイスキーの政略地図、消費の地図も随分塗り変わって来たというか、色んな変化がこの2~3年で起きているんで、それを改訂版の後に新しい情報を盛り込んだ、当時は「新モルトウイスキー大全」と考えていたわけだよ。そういう物を出さないといけないという思いは、2年前位から実は持っていた。

ただ諸般の事情で中々着手出来ずにいたのと、ここ何年かの動きが激しかったのでそれを見極めたいというのがあって、具体的に今回の場合は2008年暮れ位から企画会議をして、2009年2月、3月位からボトル選びから始まって、で、その時にもうスコッチのシングルモルトの蒸溜所だけでは駄目だろうと。やっぱりこれだけ日本のモルトウイスキーも世界で評価され、実際に非常に人気が高まっているわけだから、日本の蒸溜所をも含めて更にアイルランドの蒸溜所もこの間にいくつか復活しているもあったりするわけだから、更にカナダのノヴァスコシア社のグレンオラとかも入れて、スコッチだけではない新しいバージョンも作らないといけない、という思いがあって、去年の2月位から具体的に構成に取り掛かって、ボトルの選定をして、ボトル集めをしたのが去年の4月位からで、6月、7月位にはほぼボトルについては目途はついたんだけど、そこから追加で取材に行かないといけなかったので、2回位、連休と7月から8月に掛けてスコットランドに追加取材に行って新しい蒸溜所にも訪れて、で、お盆明けの8月終わり位から執筆にと取り掛かる、という作業で、どうにかこうにか名古屋フェスティバルに間に合いました、という(笑)。

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 K:その間の埼玉の「Modern Whisky Life in SAITAMA 2009」の時の土屋さん、あの時もう本当に...

 土屋さん:もうヨレヨレだった。

 K:もう...。

 土屋さん:息も絶え絶え(笑)。

 K:本当にそうでしたね。私が今迄でお会いした中で1番お疲れの様に見えました。お顔が、ですけれど、蒼ざめて見えました。

 土屋さん:3キロ位体重が落ちたしね。

 K:そうですか。

 

 土屋さん:しかも200アイテムあるボトルのテイスティングが、9月の頭から始まったんで、それを日々やるのに相当集中力を使ったから、体力的にも相当きつかった。ただしあれがピークじゃないんだ。10月の終わりから本当のピークだったんだ。

 K:10月...はい。

 土屋さん:あれから全く1日も休めなくてずっとやっていて、10月の終わりについに...。

 K:はい。

 土屋さん:体に変調が、ね。

 K:ご病気ですか?

 土屋さん:10月の下旬に、10/30かなんかに突然腰に痛みが走って。

 K:腰ですか?

 土屋さん:その前に7月に1回腰に痛みが走って、整形に行ってたのよ。でもそれとは又別の痛みで、その整形に行ったら椎間板ヘルニアだと言われたの。MRIで写真を撮っても椎間板ヘルニアの兆候だし、って言われたんだけれど、実はそれだけではなかった。今度は帯状疱疹に罹っていて、それが帯状疱疹だってはっきり分かったのが11月の頭なんだけれど、実際に大全の作業そのものが11月の中旬迄掛かったから、帯状疱疹だって分かっても入院出来ないし、結局入院せずに抗生物質を飲みながら最後の大全の作業をしていたという状態で、本当にぼろぼろの状態で、若干体力が回復してフェスティバルは何とか乗り切れたけれど、10月の終わりから11月が本当の疲れのピークだったね。

 K:有り難うございます。

 土屋さん:有り難うございます、じゃないよ(笑)。まだ帯状疱疹が治ってないんだからね。

 K:いえいえ、土屋さんがその様な思いで書いて下さったから、今私達が「シングルモルトウイスキー大全」を手にする事が出来ているわけですから。

 土屋さん:まあね。

 K:私が伺うBarには必ず土屋さんのご本が置いてありますから。昨日伺ったBarにもきちんと置かれてありましたし、他にもスコッチ文化研究所の資料、ご案内等もきちんとありましたので。

 土屋さん:いや、有り難い事ですよね。

 K:お体は、回復はされていらっしゃるのですよね?

 土屋さん:徐々にね。今年はちょっと。ここ2~3年、年2冊ずつ本を出していたでしょ?

 K:「ウイスキー超入門」...

 土屋さん:ウイスキーちょっといい話」、「スコッチウイスキー紀行」もあったし、年に2冊位のペースで出していたんで、ちょっと今年は単行本については止めと、来年に備えて体力を今年は付ける1年かなと。

 K:でもご依頼はありますよね?

 土屋さん:ま、そうね。あるね。

 K:でも今回はお休みですか?

 土屋さん:そうだね。

 K:スコッチ文化研究所の「テイスティング会」も半年間お休みでしたものね。土屋さんが楽しみにしている企画でいらっしゃいますよね。

 土屋さん:うん。でもそれどこじゃなかったね。(2へ続く)

 

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