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単独インタビュー第4弾 ロングインタビュー「スコッチ文化研究所代表 土屋 守さんを迎えて(5)」

26 2月 2010 2,318 views No Comment

 土屋さん:でもそうこうしている時に、うちのオフィスがピカデリーサーカスにあったから、そこから飯を食いに行くというと、たいがい5分位の「ソーホー」という中華街に飯を食いに行ってたの。中華街の外れに、ジョン・ミルロイさんのやっている「MILROY’S(ミルロイズ)」というお店があったわけだよ。で、ミルロイズというお店を知って、そこへ行ったらジャーニーという、うちの月刊誌にミルロイズが広告を出したいって言って来たんだよ。

それは多分、スコットランド観光局の紹介だと思うんだけれど、ロンドンにいる日本人にシングルモルトを宣伝するには、「この雑誌に広告を出せ」と言われたんだと思うのよ。

 K:はい。

 土屋さん:それで向こうからコンタクトして来て、「1回来てくれ」と。俺はミルロイズを知らないから、中華街の外れにこんなところがあるんだ、と思って行ったら、ジョンさんが当時オーナーであり社長だったんだけれど、「シングルモルトが飲みたかったら、お前、いつでも事務所に来て飲んでいいよ。」と。

確かに見たら、ミルロイズに当時シングルモルトが100種類以上あったかな。

俺にとって知らないボトルだらけなわけで、それからミルロイズにちょくちょく顔を出すようになって、シングルモルトを教えてもらい、テイスティングのやり方も教えてもらい、新商品が出ると「飲んでいけ」と言われて、いつも飲まされて、やがて「兄貴を紹介する」と言われて、兄貴というのが「モルトアルマニャック」という最初にシングルモルトの本を書いたわけだ。

 K:ウォレス・ミルロイさん?

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 土屋さん:そう。「ミルロイブラザーズ」って通称言うんだけれど、ジョンさんというのがお店を開いていて、兄貴が本を書いたわけだよ。これが、シングルモルトの多分最初の本なんだよ。

それを当時俺も既に持っていたし、この本を書いたのはうちの兄貴だ、と。「兄貴に会いたいか?」と言うから、それは会いたいよね。「紹介してあげるからおいで」って言われて、ウォレスさんに会って、ウォレスさんに又シングルモルトについて聞いて、で、一緒に色んな新商品が出たら、テイスティングして。貴重な時間ではあったよね。

 K:そうですね。その時ウォレスさんはおいくつ位だったのですか?

 土屋さん:いくつ位なんだろう。ジョンが今78歳位だから、1つか2つ上だから79歳位、20年前位だから50代半ば位か。今の俺位だ(笑)。

 K:そうですよね。

 土屋さん:そういう事だよな(笑)。

 K:50歳代位だったのですね。熱心に教えて頂いたのですか?

 土屋さん:いや、もうそりゃね。ジョンさんはいつもお店にいるじゃない。ジョンさんに「又、新しいの入ったから飲んで行け」と言われて、随分ジョンさんにはお世話になったね。

 K:今でも勿論交流はおありなのですよね?

 土屋さん:勿論。

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 K:そこからスコッチ文化研究所を立ち上げられた?

土屋さん:そこで結局シングルモルトの事を書いたじゃない。だからやっぱりさっきのニッチの話なんだけど、初めて分かったわけだよ。シングルモルトってまだ誰もやっていない。それで、その時にじゃあ誰もやってないんだったら、俺がやれば1~2年で多分ナンバーワンにはなるだろうと。

 K:はい。

 土屋さん:それは探検部精神なんだよ。メラメラと。

 K:(笑)。

 土屋さん:案の定1年も掛からない内に、そうやって書く様になっていたし、やがて日本から頼まれて日本の雑誌にもシングルモルトの事を書く様になったわけだ。

1番最初は、「ブルータス」に書いているの。

 K:ブルータスですか?

 土屋さん:89年か90年位にブルータスに書いたよね。

 K:その頃土屋さんは、おいくつ位ですか?

 土屋さん:35、6歳位かな。

 K:はい。でもブルータスさんには今も書かれていますよね?

 土屋さん:今は監修とかだね。俺が書く暇ないから勝手に書いてくれと(笑)。

 K:(笑)、ブルータスさんとは、その頃からのご縁なのですか?

 土屋さん:そうなんだよね。

 K:それでもとんとん拍子ではないですよね?

 土屋さん:ま、当時はそれでもね、シングルモルトってニッチで誰もやっていないから「やろう」と思って自分でやっていたけれど、それが本になるって思っていなかったよね、まだね。本にするって大変な事で、自分にそこまで出来るかどうかって事は、あんまり思っていなかった。

そこに92年に新潮社のとんぼの本の話があって、それを書いた時にそれは共著だからね、自分が書いた原稿枚数は150枚位なんだけれど、やるなら完全なものを作らなきゃ意味がない、と思いがあってさ、それがあったんで日本に帰って来た時に「1冊の本にする」という案を温めていた。それが小学館との出合いになって「モルトウイスキー大全」になったじゃない。なって3年後に「ブレンデッドスコッチ大全」を出したじゃない。この辺りで、そろそろウイスキーはちょっといいかなと思ったわけだよ。6へ続く)      (4へ戻る)

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