単独インタビュー第18弾「THE MASH TUN TOKYO 鈴木 徹氏を迎えて(2)」
K:Q1、ウイスキーの魅力について、皆さんから受けられるご質問だと思いますが、お願い致します。
鈴木さん:これは多く質問を受ける事ですが、凄く客観的な目で見させて頂いて、まずバリエーションが多いという事ですかね。作っている国によっても使っている原料が違ったり、気候風土が違ったり、まず水が違いますよね。
K:ええ。
鈴木さん:分かり易く言うと、スコッチウイスキーを手本にしているのに日本でウイスキーを作るともっと丸くて柔らかい味わいになるじゃないですか。気候ももっと温暖だから熟成も早いし、山崎と余市では条件が違いますけれど、それでもスコッチウイスキーと比べたら、だいぶ丸い感じになりますよね。そういうのが生産国によっても差があるんで、そのお国柄によってのバリエーションがあって、さらにその中でもピートを使っていたり、使っていないとか、その度合いとか、熟成年数、樽の違い、などなど、その複雑な組み合わせでのバリエーションが凄くたくさんある訳じゃないですか。例えばワインなんかもとても複雑だと思うんですけれど、ウイスキーの複雑さってなかなかこう、一口では言えない、又そういう風に考えちゃうと難しくなってしまうんですけれど、逆に色んな風に楽しめる、楽しいんじゃないかなと思いますよ。もちろん個人的にはワインも好きだしよく飲みますんで、ワインを敵に回してる訳じゃなくて、例えばの話として(笑)。
K:はい。
鈴木さん:ワインの場合は、例えば個人で買われたりとかすると開けたら1日で1本飲まないと、という感じじゃないですか。
K:はい。
鈴木さん:ワインバーなんかでグラスで出て来るものって種類に限りがあって、ちょっと良いヤツを飲もうかな、と思ったらたいていはボトルで取らないといけないでしょう?
レストランなんかでもですが。
K:はい。
鈴木さん:そうするとそれをまず飲み切らんといけないわけですよ。
K:ええ。
鈴木さん:そうすると何種類も同じ日に愉しむという事は、一人とか、少人数だとかなりの酒豪の方で無いと中々出来ないんですよね(笑)。ウイスキーの場合は、もしボトルで買って来て自宅で一人で飲んでても、10本とか開けていても明日以降でも駄目にならないんですよ。
K:ええ、確かに。
鈴木さん:今日帰ったらこれ飲もうかとか、それともBarに来て飲もうかとか出来るじゃないですか。あれもこれもって。最近はハーフショットでという方も結構いらっしゃるんで、そうすると5種類、10種類と飲める方もたくさんいらっしゃるんで、バリエーションを楽しみやすいって言う事はいいかなと思いますね。それに常に新しいものが出て来るし、なかなか追いつけない(笑)。
K:そうですね、確かに。
鈴木さん:勿論、ワインが良くないっていう訳じゃなくて、ワインにも勝るとも劣らない位バリエーションが多いので、結構楽しめるところがいいんじゃないかなと、それが魅力ですね。大きな違いは、その日に1本飲まなくて良いという(笑)。
K:確かにそうですね。
鈴木さん:ワインもそうですけれど、ウイスキーもボトル1本を愉しみ切るとそのお酒の事をよく分かって上げられるかなと思うんですよ。
K:ええ、ええ。
鈴木さん:口開けの時のコンディションと真ん中の時の減った時、終わる寸前で枯れかかった感じのコンディションなんかも味の一つなので、このお酒というのは、口を開けてから終わるまでの間にこういう風になっていて、こういう風に変わって行くんだなと愉しめたらとても楽しいんじゃないかと思うんですよ。その辺がワインと同じですね。それにスタンプラリーみたいにそれは一度飲んだからもう飲まないとか、飲んだことないから飲むとか...
K:ええ。
鈴木さん:そういう飲み方も悪くはないんですが、1つのこう、1本を開けてからなくなるまでを見届けても楽しいかなと、そんなことを多くの方に分かっていてもらいたいなと思うこともちょっとあるかな。
K:ええ。
鈴木さん:枯れかかった最後の1杯が1番美味しい時もあるんですよ。
K:ええ、ええ。
鈴木さん:何かこう、抜けて来ちゃったんだけど、抜けて来ないと出て来ないフレーバーもあるんで、まあ、実際自分1人で1本空けるのは結構大変ですけれど、行きつけのBarとかがあればね、口開けを飲ませてもらったら、気に入ったらですよ、気に入らないのを無理に飲む必要はないですけど...
K:ええ。
鈴木さん:真ん中くらい飲んで、最後も看とってあげるとか、そういうのも粋な飲み方じゃないかなと思うんですよね。
K:ええ。
鈴木さん:愉しみ方としては、その様な感じもいいなと思うし、そういうのも魅力だし、とにかくバリエーションが多いのが魅力。ウイスキー自体のバリエーションも多いし、楽しみ方のバリエーションもとても多いと思うんです。個人的にはストレートか若干加水して飲む方がモルトウイスキー自体の個性を楽しむのには良いかなと思ってるんです。アルコールのアタックも味のうちかなと(笑)。ただ残念ながら、一般的にはストレートでは食中酒としてはアルコール度数が高いですし、水で割ったり炭酸で割れば食中酒にもなると思うんですが、一般的には食後に飲むことが多いと思うんですよ。だからなかなかストレートでバンバン楽しむことができる領域まで辿りつける人が増えないのが少しさびしいかな(笑)。もちろん自分はハイボールも好きだったりするんですがね。
K:鈴木さんのお店のお客様は、殆どストレートか加水される方が多いのですか?
鈴木さん:殆どストレートですね。
K:はい。
鈴木さん:ただ一般的なお客様もいらっしゃるので、ロックや水割りでお出ししたりする事も少なくないですけれど、圧倒的にストレートの方が多いですね。僕も普段はストレートでしか飲まないですしね。ブログなどのためにテイスティングコメントを付ける時なんかは一応2、3滴加水したやつと1:1に加水した物と試してみて載せていますけれど、プライベートでそういう飲み方をするのかというとそうでもなく、テイスティングコメント書いている時だけですね(笑)。
K:ええ。
鈴木さん:普段は自分では加水しないですね。ソーダ割りは好きですけど。
K:分かる気がします。
鈴木さん:ウイスキーのコンディションがちょっと硬いかなと思った時なんかは、特に開けたての時とか、これをちょっといじってみようかなと思った時なんかは2、3滴の水を落とす時がないわけじゃないですよ。滅多にやらないですけれど。
※次回掲載予定日 2/15(金)
Leave your response!