単独インタビュー第18弾「THE MASH TUN TOKYO 鈴木 徹氏を迎えて(7)」
鈴木さん:それからモルトウイスキーを飲み始めて、たまたま縁があってBarの仕事をするようになり、そこの店も、もうないんですけれどね、渋谷だったんですけれど、当時としてはお酒が揃えてあったんですよ。若い店なんですけれどね。自分が入ってからモルトウイスキーも増やして、それでも30~40種類あったかな。そんなになかったかな。そんなもんですよ。僕が入った時は数種類しかなかったんですけど、辞める時には沢山あったと思いますけどね。
K:やはり皆さんお飲みになる方は多かったのですか?
鈴木さん:飲ませていましたね(笑)。
K:(笑)。
鈴木さん:バーボンがブームだったので、バーボンがこうバーっと出るんですよ。
K:ええ。
鈴木さん:バーボンも100種類位集めていたんでバンバン出ているんですけれど、片隅でモルト美味いなと思いながら、男はやっぱりスコッチだよと言いながら、20代半ばの小僧がお客様に勧めておったんですよ。
K:ええ。
鈴木さん:ラフロイグとか飲んでくせーっとか言いながら、気が付いたら又飲んでいるみたいな、そんな流れでずっと来ちゃったんで、一時的にワインに凝ったりとか、カクテルに凝ったりとか、元々働いていたお店でもカクテルメニューが300種類位あったんで、それをレシピ見ていたら作っていられないんで全部覚えてやっていましたし、当時としては画期的でフルーツも搾っていたんですよね。せいぜい、レモン、ライム、オレンジ、グレープフルーツ位ですけれどね。
K:そういうものは瓶に入っているものを使っていましたものね。
鈴木さん:最初はレモンとライム以外はそういう100%果汁の瓶詰め物も使っていたんですけれど。それも止めようと言って、オレンジとグレープフルーツも搾るようにしたんですよ。1番下端で入っているのに何気に実権を握って、
K:(笑)
鈴木さん:店長これ搾りましょうよ、と。うんそうだね、搾ろうかという感じで。
K:柔軟性のある店長さんですね。
鈴木さん:わりと聞き入れてくれましたね、歳は一緒だったんですけれど。
K:ええ。
鈴木さん:今下北沢でBarをやっていますけれどね。
K:そうなのですか。
鈴木さん:もう10年、いや20年近くやっていますよ。でも凄いですよね。相変わらず頑張っているみたいです。その彼がね、色々と聞き入れてくれたんですよ。モルトウイスキーもあんまり高いものじゃなかったら適当に買って良いよと言われていたんで。あっちこっちに行って買って来ていましたよ。それで知らない内に変なものが揃っていたんですよ、当時のですけれどね。
K:ええ、普段ないものが、
鈴木さん:そうそう、
K:あったのですね。その時の皆様の召し上がり方は、ストレートが良いとお勧めはしたけれども?
鈴木さん:そうですね、ロックが多かったですよね。そういうのを興味を持つ方は、まずはロックで。ストレートで、という飲み方は当時にはあまりない飲み方だったんで。
K:今私はウイスキーを好きになってストレートですが、以前見た時はロックの方が目に入っていた様な、Barに伺ってもロックが多かったような、私もロックから入りましたよね、記憶的には。
鈴木さん:自分もそうですからね。グレンフィディックもロックですから。入り口はその辺だったですよね。水割が主流の時代だったんで、酒が好きでもっと濃いのが愉しみたいと思う方は、必然的に水は要らないから、氷を入れて、という風になるんですよ。
K:ええ。
鈴木さん:それが進化しちゃったんで、今はストレートがスタンダードになって、飲み辛いんだったら氷を入れて割ったらという話になっているだけの話ですよね。それはモルトを飲んでいる人だけの話であって、
K:そうですよね。
鈴木さん:一般的には水割とかソーダ割りじゃないですか。
K:ええ。
鈴木さん:で、俺はロックじゃなきゃ駄目だね、とかいう方も多いですよね。
何だかんだそういう事をやっていたら縁があって、店を任せたいんだけどという打診があって、小さい店を任されるようになって。。。元々はそこはモルトを集めていた店だったので、それではやりましょうという事になり、それから次の店を立ち上げ、それが前の店ですが、今はこの店になってという感じ。
K:ええ。
鈴木さん:すでに今の店が歴史が1番長くなってしまったので、昔のことは置いといて、、という感じになってしまいますが、そんな感じで現在があるかなと。
K:はい。8周年ですものね。
鈴木さん:そうですね。実際に、何故モルトを中心の店をやっているのかと言うと、アレですよ、ヒヨコが初めて見たものをお母さんと思い込む習性があるでしょ?
K:ええ。
鈴木さん:初めて飲んだのかどうかは分からないけれど、意識して飲んだお酒がウイスキーだったかなと。
K:はい。
鈴木さん:で、ウイスキーになっちゃったんです。きっと(笑)。それがワインだったらワインだったかもしれないし、焼酎なら焼酎だったかもしれない。分かんないですよ。たまたま。
K:でもそれもきっかけですものね。
鈴木さん:もっと言うと僕がウイスキーを扱うのは、きっと生まれる前から決まっていた事かもしれないんですよ。
K:確かに、そういうのはあるかもしれませんね。
鈴木さん:今は、偶然かなと思うんですけれどね、僕の母親の生まれがですね、白州なんですよ。
K:そう言えば、以前お伺いしましたね。そうでしたね。
鈴木さん:白州蒸溜所から数分の所なんですよ。子供のころその辺は毎年夏休みには行っていて、遊び回っている所だったんですよね。
K:確かに。もしかしたら、そこの空気を吸っていたからかもしれませんよ。
鈴木さん:蒸溜所のオープンが1973年だから、丁度僕が小学生の時だし、出来た頃は遊びには行っていましたね。だから生まれる前からウイスキーとは縁があったのでしょう、きっと(笑)。
K:ええ。そうですね。
鈴木さん:そうですね。なので先程モートラックと言っちゃいましたけれど、今世界で一番好きなウイスキーは?と聞かれたら、白州と言う様にしてたんだ。
K:(笑)。
鈴木さん:忘れていました(笑)。スコッチウイスキーのつもりで返事をしてしまいました。
K:白州に変えられますか?(笑)
鈴木さん:白州も1番好きらしい(笑)。失敗した、と。
※次回掲載予定日 4/12(金)
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