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単独インタビュー第18弾「THE MASH TUN  TOKYO 鈴木 徹氏を迎えて(10)」

10 5月 2013 2,225 views No Comment

K:そして定番の質問なのですが。
Q8Barやウイスキーでの定番の質問になります。Barでの感動した出来事、又ふと思い出す、思い出等ございますでしょうか?
 
鈴木さん:Bar?

K:いえ、Barでもウイスキーでも感動した思い出を伺えたらと思います。
凄く印象に残っている事があれば。

 

 

 

 

 

 

 

鈴木さん:うーん。何かな(お考えになる鈴木さん)。Barの思い出でで言えば、若い頃のね、老舗のBarに通っている頃、教えてくれる先生がそこのマスターだったんですね。その人だけだったんですよ。おじさん連中しかいない中にね、20歳そこそこの22、23歳の若造が行ってウイスキーだ、カクテルだ、と飲んでいるわけですよ。

 K:ええ。

鈴木さん:(考えながら、思い出す様に)いくつかね、感動するとこそういうのとは違うんですけれど、印象に残った、記憶に残っている事を、1つはね、お店はもうなくなっちゃったんですけれど、銀座にクールというBarがあったんですよね。

K:ええ。

鈴木さん:超老舗の有名店ですね。

K:そうですね。お名前は伺った事があります。

鈴木さん:そのお店にも月に1回位行っていたんですけれど。何故1回かというと高いからです(笑)。
 
K:ええ(笑)。

鈴木さん:で、カクテルを飲んでいたんですけれど、マスターに「最近モルトウイスキーに興味を持っているんだけれど、ウイスキーを何か飲ませてもらえませんか?」と「うん、分かった」と。棚から、いくつか並べてくれて、これは何だ、これは何だと、説明をしながらどれにする?っていう話で、これから飲んだ方が良いんじゃないかと勧めてくれるわけですよ。僕が若くて、そんなにお金がない事は知っているわけですよ。

K:ええ。
 
鈴木さん:それで自分の店が安くない事も知っているわけですよ。「君は若くて勉強中だから」と、その時もBarで仕事はしていたんですけれど「シングルにして飲んでみなさい」と。昔はダブルが基本だったんです。

K:ええ。

鈴木さん:ウイスキーはダブルから、ダブルしかなかったんです。

K:ええ。

鈴木さん:今でいうハーフショットですよね。君は勉強中だからハーフショットで飲みなさい、みたいなそんな感じですよ。昔は、ダブルって言うとどれ位の量だったか分からないですけれど、シングルだったかもしれないですよね、今だったら、
 
K:ええ。

鈴木さん:基本がダブルだった。それをちっちゃいグラスで出してくれて、今みたいね、テイスティンググラスじゃないから、ショットグラスなんですけど、小さめのショットグラスに注いでくれて飲んでいたら、隣に随分年上のおじさまが飲んでいて「あ、俺もそれで飲みたいな」って言ったんですよ、そしたらマスターが、「それは駄目だよ」「彼は勉強の為に来ているんだから。特別にシングルで出しているんだ」と「普通のお客さんは駄目だ」と(笑)。
 
K:ええ(笑)凄い。

鈴木さん:なんとかかんとかとごちゃごちゃそのお客さんは言っていたんだけれど、マスターはお客さんに怒っていましたからね(笑)。「駄目だ」と。普通に怒っていましたよ。「何であいつはいいんだよ、俺の方が普段沢山飲んでいるだろ」って。「俺の方が金を使う客だろっ」て、言われても、『彼は勉強中だから特別に許している』と。普通の客は、普通に飲んでなきゃ駄目だって(笑)。

K:格好良いですね。

 鈴木さん:あーすげーなーって思いましたよね。

 鈴木さん:湯島のEST!さんによく伺っていた頃があって、EST!さんに行って色々と飲んでいたら3杯位飲んだところで突然マスターがグラスをポンポンポンと並べて、お酒を出してくれたんですよ、で、何も言わずに注ぎ始めるんですよ、
 

K:ええ。 

鈴木さん:何かなと思っていたら、こちらにズッと出して来て、「いや、頼んでないですよ。」って言ったら「これは、私からのサービスですから、これを飲んで勉強していきなさい」と。これはお代は取らないから、安心して飲んで勉強してくれよという事だったんでしょうね。

  K:ええ。

 鈴木さん:粋ですよね。

 K:はい、そうですよね。 

鈴木さん:良いんですか?って言ったら、勉強して頑張って仕事をしなさい、と。

 K:ええ。 

鈴木さん:僕がお金がない事を知っているから、最後の一杯を飲んでいる時に、まだ飲むだろう?と思ったのか、可哀そうだから(笑)と思ったのか分からないですけれど、飲み比べろと飲まされて、フルショット、バッチリ入っているんですよ。

 K:それは素晴らしいですね。

 鈴木さん:それで帰ってもいい量が入っているんですけれど、こっちもそんなの飲まされれたら、それだけでタダで帰れないじゃないですか。
 

K:ええ。

鈴木さん:それじゃあ、マスター締めにもう1杯もらえますか?ちょっといいやつを下さい、って。本当に良い酒で高い、って(笑)。
  

K:(笑)。 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木さん:そうやって色んなね、歴史に残る様な名バーテンダーの方に、方の所に行って飲ませて頂いて、色々と勉強させてもらいましたね。それが思い出に残っています。他にもいっぱいあるんですよ。初めてグレンフィディックを飲ませてくれた所は、今はもうないんですが、銀座の機関車、というBarがあったんですが、
  

K:機関車...

 鈴木さん:クールさんの並びだったんですよ。 

K:ええ。 

鈴木さん:地上げにあっちゃってね、で、なくなっちゃったんですけれどね。そのマスターにも色々と教えて頂いたし、他にも数ある名バーテンダーの所へ行きましたね。1番行ったのは琥珀、とかEST!とか、後半はEST!が1番多かったですかね。
 

K:ええ。EST!さんは湯島ですよね?
 

鈴木さん:湯島です。

 K:以前、行った方が良いよ、と教えて頂いて、今湯島には存知上げる、田平さん(Bar D&Mさん)がいらっしゃって、田平さんの所へ伺ったらエストさんには行った方が良いと教えて下さって。その時は時間がなく伺えなかったのですが。機会があったらと思っています。そう致しますと、もう長いという事ですよね?琥珀さんもそう伺っています。
 
 鈴木さん:EST!の渡辺さん、自分の尊敬する人の中の1人ですね。

 K:大体おいくつ位でいらっしゃるのですか?

 鈴木さん:80歳近いんじゃないですかね。ちょっと背中も丸まって来ちゃったし、立っているのも疲れると思いますよ。
 
 K:ええ。 

鈴木さん:あと数年で引退されるのかなと思うと寂しいです。

 K:伺っておきたいと思います。

 鈴木さん:他の方は継がないと思うので、というか、渡辺さんあってのEST!ですからね。

 K:そうなのですか。
鈴木さん:それが、まあ、印象に残っている事ですね。 (最終章へ続く)    (9へ戻る)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

※次回掲載予定日 5/17(金)

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