単独インタビュー第8弾 2011年 年明けインタビュー企画「Bar DOVECOT バーテンダー渡邊 真弓さんを迎えて(4)」
K:この流れではないのですがQ5、吉村さんの後輩だと伺っておりますが...
渡邊さん:そうなんですよ。
K:今回のインタビューを渡邊さんにさせて頂くと、吉村さんには以前にお伝えしてあるのですが...以前渡邊さんとお話をさせて頂いた時に、吉村さんに対して理科系の匂いがプンプンすると仰っていましたよね?私からするとウイスキーをお好きな方って、化学系の方や理科系の方も多いかと思うのですが...。
渡邊さん:そうですか。
K:勿論お会いする方に「どちらの会社ですか?」や、「どちらのご出身ですか?」とは関係がない事なので伺いませんけれど、たまたまそういうお話になった時にそうなのだなと。渡邊さんが仰る様に理科系らしさというのは、どちらから感じられるものだろうと思って。
渡邊さん:自分自身は理系出身とは意識した事はないのですけれど、そうなんですよ、たまたま吉村さんとは出身校が一緒で東京理科大の先輩後輩なんですよ、勿論私が後輩ですよ(笑)。変人でしょう(笑)。
K:え?(笑)
渡邊さん:お互いですよ。私も含め(笑)。吉村さんにも同じ匂いを感じました。あちらもそうだと思うのですけれど。
K:それはどこら辺なのでしょう?私も色々な方とお会いしているので、分からないのですよね。
渡邊さん:それはね、Kaoriさんも変人だからですよ(笑)。
K:え?(笑)。
渡邊さん:理系らしさとかは私も分からないんですけれどね。
K:理系っぽい方とはどういう方なのでしょうか?
渡邊さん:うーん、自分の事で言えば、特に私と吉村さんの出身校は名前の通り、ほとんど理科系に特化しているんですよ。
K:はい。
渡邊さん:一応ユニバーシティーなんですが、理系の学生にとってはカレッジという色合いが強くて。
K:はい。
渡邊さん:そういう特色なので、何て言うんでしょうか。何でも物事をこん詰めて考えちゃうのかな。例えば、ウイスキーの中でも、シングモルトって種類も味も様々ですよね?
K:はい。
渡邊さん:蒸溜所は多いは、味は土地土地で違いますし、樽でも又違いが出ますし、そういうものを追っていきたくなるのですよね。
K:ええ。
渡邊さん:何で?何で?何で?みたいな。
K:そこに答えを見付ける為に突き進む感じですか?
渡邊さん:そうですね。とりあえず実験してみようかな的に、まずは飲んでみよう、チャレンジしてみよう、と。知りたい、知りたい、というのが強いのかしら?
K:ええ。
渡邊さん:後は勝手な言い分ですけど、理系は意外とロマンチストなんですよ。
K:え?ええ。
渡邊さん:何て言うのでしょう、感性とでも言うのかな?文系でも無論そういう方はいると思うのですが、何でしょうね、好きなんでしょうね。例えば、こういうBarという世界って1つのカテゴリーとして存在していますよね。Bar文化という世界観がありますよね。何かそういう所に惹かれちゃうんですよ。
K:ええ。
渡邊さん:何だろう、孤独なのかな?(笑)
K:(笑)
渡邊さん:何でしょうね。
K:探求心がお強いという事ですか?
渡邊さん:そうですね。探求心...物事をあまりアバウトには見えないんでしょうね。
K:「まあまあそれ位」と言うよりは、だったらどうしてこうなるのだろう、と知りたい?
渡邊さん:そうですね。アイラモルトがありました、これ位蒸溜所がありました、でしたら片端から飲んでみようかなと。
K:ええ。
渡邊さん:自分の中でシリーズ化したり。アイラデー、ハイランドマンスリーの様に。それで何が違うのだ?とか。何か自分の中にあるのですよね、ストーリーが。
K:ええ。
渡邊さん:私はそうでした。
K:ええ。
渡邊さん:後、エピソード好きなんじゃないですかね。
K:エピソード?
渡邊さん:カクテルにしてもウイスキーしても例えば誰々が飲んでいてこうなったとか、こういう時に作られたとかありますよね。
K:ええ。
渡邊さん:自称ロマンチストなので、そういうエピソードと重ねながら自分の中の世界観を作って行くんですね。
K:ええ。
渡邊さん:自分だけの世界をコツコツ作って行くのが好きなんじゃないでしょうか?
K:そうですか。そういう事によって極めたい、極められる方向へいきますものね。
渡邊さん:そうですね。
K:無理してではなくて。ご自分のお気持ちが先でその後について来ると、結果的には。
渡邊さん:そうですね。極めたいという事が先行した事はないのですが、結果周りから見ると嵌っていると見えるみたいですね。それが理系っぽいと言われるのかもしれませんね。
K:ええ。
渡邊さん:おそらく吉村さんも私も変わっています(笑)。同じ匂いを先輩に感じました。
K:最初お会いした時はどのタイミングだったのですか?
渡邊さん:最初はご来店頂いたのですね。
K:初めてはそのタイミングだったのですか?
渡邊さん:ええ。その前は本でもちろん存知上げていたのですが、お会いするのはその時が初めてでした。お店にいらっしゃって何となくそういうお話になったんですよね。「あれ?」「やっぱり?」「そんな匂いを感じました?」みたいな。お互いが。
K:吉村さんからこちらに何度かいらっしゃっているというお話を伺って、「そうだったんですね」という会話をしたのですけれど、そうしたら「後輩なんだよね」と仰っていて。
渡邊さん:そうなんです。たしか学部も同じはずなんですよね。
K:そうですか。
渡邊さん:はい。確か吉村さんは化学で、私は物理なんですけど、学部は一緒のはずです。
K:女性は多いのですか?
渡邊さん:少ないですね。物凄く少なかったです。
K:どこを目標にされてその大学を選ばれたのですか?
渡邊さん:どこを?そうですね…
K:だって簡単に入れるわけではないですから。
渡邊さん:うーん、理科大以外興味がなかったから、なんですが...
K:逆に理科大のどこに興味を持たれたのですか?
渡邊さん:理科がしたかったから(笑)。
K:ええ。
渡邊さん:その頃は、宇宙関係の仕事がしたくて。そう思ったきっかけが中学生の頃の理科の先生の授業が面白くて、その先生が理科大だったんですね。なのでいつしか理科大に行くもんだと、漠然と決まってしまいました。以前の仕事も航空関係とお話しましたが、自分で作って乗って遠くに行きたいというのが夢でした。
K:ええ。
渡邊さん:昔から 乗り物が好きで、車も大好きですし、バイクにも乗るんですけれど。
K:ええ。そうですか!
渡邊さん:子供のころから好きでしたね。そこも嵌っているんでしょうね。
K:それは何故バイクは走るのだろう等、そこも考えるのですか?
渡邊さん:そうです。全部自分でやります。ガチャガチャと。
K:そうですか。凄い。
渡邊さん:生まれつき好きだったという事なんでしょうね。
K:そうすると大学を出られて、物理のお勉強をされて...そこからバーテンダーになる方は少なくないですか?
渡邊さん:少ないと思います。私と吉村さん位だと思います(笑)。
K:少ないですよね。そこから活かされていると言う事はありますか?
渡邊さん:そうですね。直接そこから仕事という事には...
K:もしかしたらここが活かされているのかもみたいな所は?
渡邊さん:そうですね。物を作るという事は元々好きでした。最初の方に、手を抜かないというお話をしたと思うのですが、「より良く、より早く、よりクオリティーを高く」という事を何事にも当てはめて考えてしまいます。それは本来自分が持っている性分のようものではなく、学校での物理の勉強とか、又その後会社に入って人が乗る物を作っている、人の命を預かっている、そういう中で責任感が少しずつ養われていったのだと思います。先程の話で氷山の一角にグラスがあるという事を申しましたが、自分の仕事の先には必ずそれを使う人がいる、それを飲む人がいるという事を必ず意識して、それをするかしないかでは仕事をする上で大きな違いになると思うんですね。
K:はい。
渡邊さん:そこでいい加減な仕事をしてしまうと取り返しのつかない事になってしまうという点で、以前の仕事と今が繋がっているのだなと思います。
K:そうすると、通じるところがありますよね。
渡邊さん:ありますね、うん。そうですね、そうですね。
K:やはり何かしら繋がって行くのですね。今迄のご自分の経験がどこかで自然とそういう方向に行くのでしょうね。
渡邊さん:ね、何となくね、面白いものですね。
K:面白いですよね、そういう風に考えると。
渡邊さん:そうですね。今となれば前職の経験と言うのは直接的には何も関係がなくなってしまうのですが、色々なお客様と接する中で、そういう経験というのは自分を支える引き出しになったり、あるいは自分という人間の幅になったりしているのかもしれませんね。そういう意味では面白いですね。
K:いいですね。中々皆さんが伺う機会がないと思いますので。
渡邊さん:そうですよね。
※次回掲載予定日 2/11(金)
うーん、理学部化学系の私としては、今回のお話は興味深く拝見しました。そして、時々納得。
特に変人ってとこ(笑
GIAN様
コメント有難うございます。
他の方にも伺いましたが、理系の方には面白く受け止めて頂いている内容で安心致しました。
今週の掲載(予定)が、最終章になりますので、是非引き続きお読み頂けたらと思います。是非楽しみにされて下さいね。
今後共どうぞ宜しくお願い致します。
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